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【業種別】M&A(事業買収・売却)の特徴・動向や事例
【業種別】M&A(事業買収・売却)の特徴・動向や事例

近年増加傾向のM&Aについて、業種別一覧です。業種別に特長・動向、事例などをみてみましょう。

IT・通信業のM&A

IT・通信業界における中小企業では、盛んにM&Aが行われています。IT・通信業界においてM&Aが盛んに行われている理由は、変化の激しい業界であるからです。新興の企業が次々と現れ、新しい商品やサービスが日々生まれています。IT・情報通信業界に属する多くの企業では・・・

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製造業のM&A

多くの製造業を営む中小企業では、販路の拡大が重要な経営課題となっています。会社内にどんなに高い技術や優秀な人材がいても、製造業の場合、それを商品として販売することができなければ売上に繋げることができません。製造業界には、高い技術力を有するものの・・・

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建設業のM&A

国内建設業界の現状ですが、国土交通省が公開している資料によると、1992年度に建設投資額が約84兆円のピークをとなった後、減少傾向に転じ、2011年度には約42兆円まで落ち込み、その後は増加に転じて、2019年度には約56兆円となり・・・

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食品卸売業のM&A

食品卸売業に属する企業は、食品の生産者などである企業(メーカー)と、スーパーやレストランなど、食品の販売先となる企業の中間に位置しており、その双方をつなぐパイプ役を担っています。生産者と販売先の中間において生じる様々な業務(物流/在庫/決済など)を、食品卸売業に属する企業が一括して代行することによって・・・

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クリニックのM&A

病院とは20床以上の病床を有するものをいい、クリニック(診療所)は病床を有さない、または19床以下の病床を有するものをいいます。現在、病院・クリニックとも、人口高齢化に伴う医療費の拡大を背景とした診療報酬の引き下げや・・・

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ホテルのM&A

日本のホテル経営は、これまで内的・外的要因から栄枯盛衰を繰り返してきました。1980年から90年代にかけてはホテルのバブル期があり、大型ホテルの建設ラッシュが続き不動産投資の対象にまでなりました。しかし、バブルもはじけるとホテルも経営悪化・・・

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飲食業のM&A

飲食店は低資本で事業を新たに始められる業態のひとつです。裏を返せば、新規参入者が多く競争が激しいことにもなるので、経営不振から開業から数年以内に閉店・廃業して撤退してしまうことも多々あります。しかし、廃業するとなるとそのコストも少なくないものになることも多く・・・

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学習塾のM&A

従来、学習塾業界は、少子高齢化による利用者の減少によって事業者の売上高の減少が予想されていました。しかしながら、近年の動向を確認してみると、子ども1人あたりにかける教育費については上昇傾向にあり、これが後押しするかたちで学習塾業界は活況を見せています。・・・

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M&Aの基礎知識
2022/02/20
大変革期を迎えた2021年中小M&Aの総括
Dec.2021 Vol.3 大変革期を迎えた2021年中小M&Aの総括 | 事業承継・M&AならBATONZ(バトンズ)

本記事では、「Dec.2021 Vol.3 大変革期を迎えた2021年中小M&Aの総括」についてお伝えします。BATONZ(バトンズ、旧アンドビズ)は、国内最大の成約支援実績を持つ事業承継・M&Aプラットフォームであり、全国の売主様・買主様にとって役立つ情報もお届けしています。

M&Aニュース
2021/12/30
SBI、事業承継の新ファンド 300億円規模
SBI、事業承継の新ファンド 300億円規模

SBIホールディングスは事業承継に悩む中小企業に投資する総額300億円規模の新ファンドを2022年上期に立ち上げる。既に運用する1号ファンドの投資枠約1

M&Aニュース
2021/12/30
IT・情報通信業界における中小企業のM&Aの特徴・動向と事例3選
IT・情報通信業界における中小企業のM&Aの特徴・動向と事例3選

近年では、中小企業においてもM&Aが盛んに行われるようになっています。中小企業においては、特に現経営者の高齢化に伴い、その事業の承継が問題となりがちですが、それを解決する手段としてM&A(事業売却・株式売却)が活用されているのです。この記事では、IT・情報通信における中小企業のM&Aの特徴とその事例を紹介していきます。

IT・情報通信業界における中小企業のM&Aの特徴と動向

IT・通信業界における中小企業では、盛んにM&Aが行われています。IT・通信業界においてM&Aが盛んに行われている理由は、変化の激しい業界であるからです。新興の企業が次々と現れ、新しい商品やサービスが日々生まれています。IT・情報通信業界に属する多くの企業では、自社で新しい商品やサービスを開発するよりも、他社の事業をM&Aを通じて習得した方が、自社サービスや商品とのシナジー効果によって売上拡大が見込めるため、M&Aを実施するのです。

 

また、他業界がIT・情報通信企業の技術やサービスに注目しているという要因も、IT・情報通信業界においてM&Aが盛んに行われている理由の一つです。他業界から、IT・情報通信業に参入したくとも簡単なことではありません。したがって、資本力のある企業が特徴あるサービスを展開している中小企業や、その事業をM&Aによって取得するというケースも少なくありません。こうした結果として、IT・情報通信業界においては、M&Aが盛んに行われているのです。

IT業界

IT・情報通信業界におけるM&Aの事例

ここでは、IT・情報通信業界において実際に行われたM&Aのケースを3つ紹介します。

(1)北陸電力グループが江守情報グループを買収したケース

ひとつ目に紹介する事例は、2021年12月に北陸電力グループが江守情報グループを買収したケースです。電力会社によるIT企業の買収という異業種買収事例となっています。

北陸電力グループでは、既存の子会社とあわせてシステム事業を強化し、デジタルトランスフォーメーション関連の需要を今後狙っていくために、電力以外の新事業領域の創出を近年の経営上の課題としていました。今回の買収を梃子として、北陸電力グループはデジタル分野における事業の拡大を目指しています。

今回、北陸電力グループが買収した江守情報グループは合計7社から構成されていて、それぞれが、オリジナルソフトウエアの開発販売をはじめ、物流管理システムの開発、ケミカルデータの提供など幅広い事業を手掛けています。グループ全体の2021年3月期における売上高は68億円で、従業員は299人と比較的大きな買収事例と言えるでしょう。

7社の大半は2015年に経営破綻した江守グループホールディングス(GHD)をルーツとする企業で、北陸電は化学分野など専門性の高いシステムの開発に強みを持つ江守情報グループとの協業を通じて、デジタルトランスフォーメーションの進展で高まるITニーズを取り込むことを目指しています。

(2)スターティアリードがSD21と吉田ストアからITインフラ関連事業を譲受けたケース

ふたつ目に紹介する事例は、スターティアリードが株式会社Sharp Document 21yoshida(SD21)と株式会社吉田ストアからITインフラ事業を譲り受けたケースです。SD21と株式会社吉田ストアは、事業譲受け当時、両者とも民事再生手続中でした。

SD21及び吉田ストアの両社は、複合機事業を中心とするITインフラ関連事業を宮城県・福島県を中心に全国展開していて、約5,000社の顧客基盤を有しており、スターティアリードがそのITインフラ関連事業を譲り受けることで、スターティアリードがもともと持つITインフラ関連事業の売上拡大、顧客拡大、全国展開に加え、仕入等コスト削減、リベート増加等が期待でき、更にはデジタルマーケティング関連事業へのクロスセル(顧客が購入を希望している商品と組み合わせて使うことのできる商品の購入を促すこと)も期待できるとしています。

スターティアリードは、2社が保有する既存事業を継続することに加え、グループ企業が手がけているデジタルマーケティングのクラウドサービス「クラウドサーカス」などを5,000社の顧客に売り込むなどのシナジー効果を狙っています。

(3)クラウドワークスがコデアルを買収したケース

さいごに紹介する事例は、クラウドワークスが2021年10月に株式会社コデアルを買収したケースです。同業他社を買収しています。今回、クラウドワークスが子会社化したコデアルは、即戦力IT人材ダイレクトマッチングプラットフォーム「CODEAL(コデアル)」を開発・運営する企業です。買収当時、コデアルの売上高は5500万円、営業利益400万円、純資産4500万円であり、今後の成長も見込め、クラウドワークスの既存事業とのシナジー効果も見込めるため、今回の買収に至っています。

クラウドワークスが全株式を取得して子会社化したコデアルには、Webエンジニアを中心とする即戦力のITフリーランス人材が15,000名以上登録しています。コデアルは、2015年にサービスを開始して以来、IT人材の不足に悩む企業とハイスキルかつ即戦力となりうる人材のマッチングを多数創出してきました。

おわりに

IT・情報通信業界においては、同業企業によるM&A、異業種企業によるM&Aのどちらも盛んに行われています。同業企業がIT・情報通信企業のM&Aを行うのは、業容の拡大や売上高の拡大が狙いです。一方、異業種企業がIT・情報通信のM&Aを行うのは、新しく需要が見込める業界へ参入するのが狙いです。特に、今後は、デジタルトランスメーションによって、業務の効率化や新サービスの提案などが必要となるため、IT・情報通信業界のM&Aはより盛んになると予想されます。

このような意味で、IT・情報通信業界におけるM&Aは、様々な既存の経営課題を解決するための一つの手段となりうるものです。業績の不振にあえいでいる中小企業経営者の方は、それを解決するための手段の一つとしてM&Aを検討してみてはいかがでしょうか。M&Aのメリットやデメリットはこちらをご覧ください。

M&Aの基礎知識
2021/12/31
製造業における中小企業のM&Aの特徴・動向と事例3選
製造業における中小企業のM&Aの特徴・動向と事例3選

近年、中小企業においてもM&Aが盛んに行われるようになっています。中小企業においては、特に現経営者の高齢化に伴い、その事業の承継が問題となりがちですが、それを解決する手段としてM&A(事業売却・株式売却)が活用されているのです。この記事では、製造業における中小企業のM&Aの特徴とその事例について詳しく紹介していきます。

製造業における中小企業のM&Aの特徴と動向

多くの製造業を営む中小企業では、販路の拡大が重要な経営課題となっています。会社内にどんなに高い技術や優秀な人材がいても、製造業の場合、それを商品として販売することができなければ売上に繋げることができません。製造業界には、高い技術力を有するものの、資本力や経営能力に乏しい会社もあり、宝の持ち腐れとなってしまうケースも見受けられますが少なくないのです。

特に、製造業の企業において、成長や新規事業の立ち上げには、製造のノウハウ・技術や人材、優良な取引先などが不可欠な要素となります。しかし、ノウハウなどの経営資源を0から自前で習得取得するには膨大な時間かかります。これに加えて、製造業界を取り巻くトレンドや顧客ニーズの変化が近年は早くなっているため、一から経営資源を確保しようとしては、時代の変化に対応することができません。

そのため、近年では、中小企業の多くが多額の資本を有する大企業の傘下に入る(子会社もしくはか関連会社となる)ケースが多くなっています。実際、中小規模の製造業における中小企業経営のの多くが業績不振にあえいでおり、後継者問題にも悩まされています。

自社よりも事業規模が大きい会社とM&Aを行えば、買い手企業の傘下として製造事業を運営することになりますから、買い手企業が有するブランド力や資金、最新設備などの経営資源を活用することで、安定的な経営や事業成長の加速を実現できます。大企業の傘下に入ることで、大企業が持つ販路を自社の販路として活用できるようになるため、売上増を見込んで、M&Aを検討する企業が増えてきています。大企業にとっても、様々な商品を自社の販売経路で販売できるようになることから、中小企業のM&Aを盛んに行うようになっています。

製造業のチーム

製造業におけるM&Aの事例

ここでは、製造業において実際に行われたM&Aのケースを3つ紹介します。

(1)株式会社萬坊が第三者割当増資によってJR九州の子会社となったケース

株式会社萬坊の概要

所在地 佐賀県唐津市
従業員 150名
資本金 2,000万円
事業内容 食料品製造業


ひとつ目に紹介するのは、第三者割当増資によって他社の子会社となったケースです。佐賀県唐津市で活魚料理店の経営と水産物加工品の製造・販売をする企業である株式会社萬坊は、2019年12月にJR九州の子会社となりました。

株式会社萬坊は、もともと、1983年に日本初の海中レストラン「萬坊」を開店した企業で、1985年に料理長が開発した「いかしゅうまい」が大ヒットし、2021年現在、直営7店舗で商品を販売するほか、商社の流通網に乗せて全国へ商品を出荷しています。株式会社萬坊は、九州を代表するお土産品となった「いかしゅうまい」の発祥として、 現在も抜群の人気を誇っており、地域の名産である「呼子のいか」のブランド化に貢献するなど、地域の活性化にも貢献している企業です。

しかしながら、1990年代に始めたフグ養殖業の不振により債務超過に陥り、社長交代を機に不採算事業から撤退するなど、経営改善を進めていました。経営改善によって利益が出ても、債務の返済に回るばかりで、老朽化した工場設備の改修もままならない状態でした。将来に向けた設備投資が不可欠であったものの、投資資金の追加融資の返済計画を練っても、将来的に債務超過に陥る可能性を捨て切れず、当時の社長であった太田氏がM&Aの検討を始めました。その結果、JR九州の子会社となることが、2019年に決定しました。JR九州としても、株式会社萬坊とは、観光・物販の両面で様々な連携が可能で、お土産品の販路開拓や新商品・新業態の開発、地域への送客等の取り組みを通じて、一層の業容の拡大が期待できるM&Aでした。

このM&Aによって、JR九州の販売網を活用して首都圏のスーパーマーケットなど新たな販路を獲得することができ、さらに、増資によって調達した資金を活用して工場設備の改修を行うなど、生産の効率化や販路拡大、経営基盤の安定化に成功しました。

(2)エミック株式会社が日測エンジニアリング株式会社を事業買収したケース

 エミック株式会社の概要

所在地 東京都品川区
従業員数 180名
資本金 9,080万円
事業内容 業務用機械器具製造業


ふたつ目に紹介するのは同業他社から事業を買収したケースです。東京都品川区のエミック株式会社は、複合環境試験装置の製造・販売を主に営む企業です。主な取引先は自動車メーカーと自動車部品メーカーとなっています。自動車は、近年、ガソリン車からEVへと開発のシフトが起きており、それに伴いエンジン周りを中心に部品点数が減っています。その結果、複合環境試験装置は景気変動の影響を受けやすいこともあり、近年は、顧客が持ち込んだサンプルを試験する受託試験事業にも参入するなど、事業の多角化を図るなど成長を続けてきました。

一方で、日測エンジニアリング株式会社は、温度試験に必要な装置(特殊チャンバー)などの製造や受託試験事業を営む企業です。2008年のリーマンショック後に投資に失敗し、業績不振に陥り、2018年に自主再建が困難となったため、事業譲渡の引受先を探していました。

そこで引受先となったのがエミック株式会社です。エミック株式は、2019年7月に日測エンジニアリング株式会社を買収しました。M&A実施により受託試験事業などの規模が拡大し、エミック株式会社の受託試験事業の売上げ、営業利益は約2倍となるなど、買収によるシナジー効果によって経営の安定化にも成功したケースとなっています。

(3)株式会社ユニックスが従業員へ事業を承継したケース

株式会社ユニックスの概要

所在地 大阪府東大阪市
従業員数 12名
資本金 2,200万円
事業内容 プラスチック製品製造業


さいごに紹介するのは従業員への事業承継に成功したケースです。大阪府東大阪市の株式会社ユニックスは、1984年に現会長である苗村昭夫氏が設立した企業で、表面処理加工業を営んでいます。ポリウレタンの表面処理技術を強みに産学連携にも積極的に取り組むなど、研究開発型企業として長年事業展開してきました。実際、独自開発した表面加工技術を強みに国内外に展開し、大阪府より新技術・新製品開発功労賞を受賞しています。

こうした輝かしい実績がある一方で、会長である苗村氏が高齢となったこともあり、事業の承継を検討し始めました。株式会社ユニックスの事業承継のケースがユニークであるのは、従業員アンケートを実施して後継者を決定した点です。全従業員にアンケートを実施して、後継者を抜擢しています。会長が保有していた自社株式は、取引先銀行からアドバイスを受けて、事業承継ファンドが無議決権株式として買い取り、後継者が議決権のある株式の3分の2を保有することで事業承継を行っています。この手続きにより、従業員後継者への事業承継で問題となりがちな後継者の資金問題を解決しています。

また、事業を承継するまでに、およそ3年間の準備期間を設けたことも今回の事業承継が成功した重要な要因です。株式会社ユニックスの後継者に抜擢された町田氏は、中小企業大学校などで事前に経営について学び、2016年、代表権を苗村会長に残したまま社長に就任するなど、実際に経営者となる前の事前準備を十分に行いました。代表権を現オーナーから後継者に委譲することは、後継者が会社の重要事項を決められる立場になり、独り立ちして会社経営を行うことを意味します。したがって、そのための十分な準備期間を後継者に与えることが、非常に重要な意味を持つのです。その結果、2020年に代表権が町田氏に移っても、新体制のもとで事業を展開することができました。

おわりに

製造業における中小企業のM&Aの特徴は、多額の資本を持つ企業の傘下に入って、販路の拡大を目指している点にあります。製造業において、有能な人材の確保や技術力の向上は重要な経営課題ではあるものの、それを製品として販売できなければ売上に繋がりません。その結果、業績が悪化してしまい、再起不能となるケースも少なくありません。その結果、販路拡大のために、多額の資本を持つ企業の傘下に入って、販路を拡大する中小企業が多くあります。そうした事例としてこの記事では3つのM&A事例を紹介してきました。

M&Aは、製造業における様々な経営課題を解決するための一つの手段となりうるものです。業績の不振にあえいでいる中小企業経営者の方は、それを解決するための手段の一つとしてM&Aを検討してみてはいかがでしょうか。M&Aのメリットやデメリットはこちらをご覧ください。

M&Aの基礎知識
2021/12/31
親族内で事業承継が行われない(継ぎたくない)理由
親族内で事業承継が行われない(継ぎたくない)理由

企業の後継者不足問題:親族内承継から第三者承継へ

日本全体の高齢化が進む中、2025年には75歳以上の後期高齢者となり、国民の4人に1人が75歳以上となります。これにより、医療費、介護、年金の問題が顕在化すると予測されています。それに伴って、会社の承継においては中堅・中小企業の事業承継が大きな課題として顕在化します。2025年には、70歳(経営者の平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万(日本企業全体の1/3)が後継者未定という状況です。このまま推移すれば、中小企業・小規模事業者廃業の急増により、2025年までの累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性も出ています。

上記の後継者不在の問題は、日本全体の高齢化だけではなく、親族内での事業承継が大幅に減少していることも大きな要因となります。みずほ総合研究所が2016年に公表した「中小企業の資金調達に関する調査」によると、20〜25年前には事業承継を行った経営者の73.0%が息子・娘、12.4%が息子・娘以外の親族、9.1%が親族以外の役員・従業員、5.5%が社外の第三者へ事業承継を実施しています。しかし、直近の5年間に事業承継を行った経営者のうち、26.7%が息子・娘、7.6%が息子・娘以外の親族へと事業承継しており、過去に比べて自身の子息への承継が大幅に減少しています。他方、社外の第三者へ事業承継を行なった経営者が39.3%、親族以外の役員・従業員に事業承継を行なった経営者が26.4%と、増加傾向となっています。データをまとめると、親族に事業を承継した経営者が85.4%から34.3%にまで急速に減少していることがわかります。

このように、親族承継を行う経営者は減少しており、社外の第三者や社内の従業員に事業承継を行うケースが増加しています。

参考)みずほ総合研究所「中小企業の資金調達に関する調査」:https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/mhri/sl_info/working_papers/pdf/report20160715.pdf

親族内で承継が行われない理由①:事業承継時の資金負担

事業承継の際には後継者に費用負担、債務承継が発生するという問題があります。非上場企業の場合、親族内承継であれば株式、事業用資産を相続・贈与により後継者に移転するケースが一般的です。相続・贈与実行の場合には税金が発生します。相続税・贈与税は共に最高税率が55%と高い税率がかけられ、重い負担の費用となります。仮に相続税・贈与税を会社が負担したとしても、事業承継後の会社運営に支障をきたす恐れがあります。

また、経営者が遺言等を残さず急死した場合、株式は分散化され買い集める必要がでてきます。仮に資金不足等により買い取れない場合には、経営権が分散しており、株式保有者の意見を経営に反映させなければならず、健全な経営の妨げになる可能性も考えられます。

後継者が、事業承継の際に必要となる資金を金融機関から調達することも考えられますが、経営者交代により金融機関との信用関係が希薄化し、融資実行がハードルとなることも考えられます。

親族内で承継が行われない理由②:負債の引継ぎ

事業承継により債務、個人保証、担保等非常にリスクが高く個人の生活に影響を与える負債も引き継がなくてはなりません。仮に、事業承継後に会社の多額の債務や経営不振により業績が悪化し、法人での借金を抱えた場合、経営者は自宅や車等の個人資産を明け渡さなくてはなりません。自己資産を失い、多額の借金を抱えることで生活が非常に苦しくなります。債務や個人保証、担保は事業承継後の大きなリスクになり、後継者の人生を大きく左右する可能性があります。

 親族内で承継が行われない理由③:経営者としての資質、能力不足

事業承継の際、後継者には資金を中心とした多くの負担が発生します。資金やリスク等以外に、親族承継が減少している理由の一つとして後継者の能力不足が挙げられます。

規制緩和やグローバル化の進展による国境を越えた競争の激化、大企業による業界・事業再編、人口減少により収縮する国内マーケット等の複数理由により中小企業の生き残り、業況拡大ははより厳しさを増しています。そのため、後継者はこれまでの中小企業経営者以上に経営者としての幅広い資質、能力が求められます。更には多様な働き方が広がっており、経営者のご子息が経営者になるという固定概念も変化していることも要因に挙げられます。

親族内で承継が行われない理由④:業界の先行き不透明さ

直近のコロナ禍において、多くの業界においては事業の大きな転換を迫られている状況となっております。また、1990年代以降日本経済は変化が激しく低成長のトレンドが長く続いて、かつ少子高齢化による国内マーケットの市場縮小が大きく進行しております。中小企業では経済の低成長トレンド、人口の減少により業界全体が大幅に縮小し先行きが不透明と思われる業界が複数あります。上記のように、ただでさえ、事業承継には後継者に対する負担が大きいことに加えて、業界の展望が暗い中で会社を継いでも不幸になるだけと考えて承継を拒否する経営者の子息も多くいらっしゃいます。また、経営者も子息に苦労せず、自由に生活して欲しいと考え、そもそも承継すら考えないという場合もあるでしょう。

息子父の話し合い

第三者への承継を検討するべき要因

前述の通り、20〜25年前に社外への承継はわずか5.5%でした。また、会社売却についてはネガティブな見方が多く、経営者も社外承継の選択を考えていないのが一般的でした。しかしながら、近年「後継者不在」の問題が大きくフォーカスされたこと、M&A仲介会社の拡大により第三者承継に対する考え方の啓蒙が進み、直近の5年間で社外への承継は39.3%にまで上昇し、これまでで最も多くの経営者が社外への承継を選択しています。※M&Aを行う際のメリット・デメリットはこちらをご覧ください。

まとめ

後継者の不足は日本経済にとって深刻な問題です。かつて経営者は承継を親族内だけと考えていましたが、親族承継が難しい要因は多々あります。そこで、第三者への承継を視野に入れておく必要があります。経営者自身で準備を行うだけではなく金融機関や、コンサルティング会社に協力を依頼する等などの対策が想定されます。

M&Aの基礎知識
2021/12/29
SBI、事業承継の新ファンド 300億円規模
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SBIホールディングスは事業承継に悩む中小企業に投資する総額300億円規模の新ファンドを2022年上期に立ち上げる。すでに運用する1号ファンドの投資枠約110億円を使い切るめどが立ち、約3倍の規模に引き上げて組成する。地方銀行とのネットワークを生かし、地域をまたいだ再編で経営効率の改善や事業拡大を後押しする。傘下のSBI地域事業承継投資(東京・港)が主導し、地銀など金融機関のほか、M&A(合併

M&Aニュース
2021/12/28
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M&Aニュース
2022/03/28
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中小企業経営者なら知っておくべき「事業再構築補助金」のポイント (2021年12月24日) - エキサイトニュース

栄えるものは、いつか衰退する。それは事業も同じで、永久に成長し続ける事業はない。ビジネスを取り巻く環境は常に変化し続ける。時にはその環境がガラリと変わることもある。近いところでは、新型コロナウイルスの...

M&Aニュース
2021/12/25