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民泊のM&A動向~住宅宿泊事業法成立からコロナ禍へ~
民泊のM&A動向~住宅宿泊事業法成立からコロナ禍へ~

はじめに

 国内の民泊事業者は好調なインバウンド需要に支えられ、増加傾向にありました。一時、2万件を超えた民泊事業を営む事業者の届出住宅数は、コロナ禍で大幅な減少に転じています。コロナ禍以前は、観光客の増加に伴う宿泊需要の高まりを受け、空き家や空き物件の有効活用を目的にした、中小の不動産事業者による新規参入が相次いでいたものの、近年では、逆に、民泊事業から撤退するような状況となっているのです。

 このコラムでは、民泊事業を展開する事業者がなぜM&A進めているのか、その理由を解説するとともに、最近のM&Aの動向について解説をしていきます。

民泊事業者がM&Aを希望する背景

 2017年6月9日、「民泊」という営業形態の宿泊提供に関する法律「住宅宿泊事業法」が成立しました。従来、宿泊営業の実施に当たっては、原則、旅館業法に基づく許可が必要であったものの、「住宅宿泊事業法」が成立したことで、住宅宿泊事業法第3条第1項の届出をしていれば、旅館業法第3条第1項の規定にかかわらず、住宅宿泊事業を営むことができるようになりました。その結果、民泊事業を展開する事業者は増加しています(下図)

住宅宿泊事業届出住宅数等推移

出所:観光庁

 しかしながら、民泊の届出住宅数は2020年4月10日の2万1385件をピークに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大と緊急事態宣言の影響で減少に転じています。

実例として、2021年2月5日までに民泊事業を営んでいた株式会社TAKE(札幌市)が事業を停止し、自己破産申請を行いました。株式会社TAKEは、2011年の設立で、主に不動産オーナーの物件を対象として民泊の運用・運営・管理サービスや宿泊コンサルティング業務、内装工事などを手掛けていました。

 このように、インバウンド需要などを見込んだ、「住宅宿泊事業法」の成立を機に、民泊事業へと多くの企業が参入してきたものの、COVID-19によって事業環境が激変し、事業者が、民泊関連事業から撤退を余儀なくされるほどのダメージを受けています。民泊事業を展開する企業はまだまだ資本力も弱く、事業規模も大きいとは言えないところも少なくありません。収益が見込めなくなり、財政的に厳しくなった民泊事業者が、事業を売りに出しています。

 信用調査会社の東京商工リサーチによると、2020年5月時点のCOVID-19に関連した全国の経営破綻139社のうち、宿泊業は30社と業種別で最多となっています。厳しい状況に置かれていることがわかるでしょう。その結果、ホテル・旅館業界に直接関わりを持たなかった大手企業や不動産企業などが、COVID-19収束後の需要回復をにらみ、買収を活発化させる動きも出始めています。自社の持つ資産の新たな活用の一つとして新たに参入するケースが増えており、もともとの事業者が資本力のある企業との資本関係を結ぶなど、業界再編の動きが加速しています。

民泊事業者のM&A

業界再編の動きに対応して、民泊事業者のM&Aの件数も増加傾向にあります。近年では、特に、事業承継支援を行うプラットフォームを活用したM&Aが行われています。事業承継支援を行うプラットフォームでは、事業を売りたい会社と事業を買いたい会社のマッチングサービスが行われています。プラットフォームには、全国各地の民泊事業や施設の買い手を募る情報が掲載されています。

「住宅宿泊事業許可済」「JR〇〇駅7分」「特価販売」「365日可能」といったキーワードで売却希望案件が多数出されており、一つの物件当たりの売却希望価格は0〜250万円程度と立地やそのほかの条件などによって大きく揺れがあるものの、オンライン上で日本全国の民泊ホテル事業の情報交換が行われています。

 民泊のM&Aは、基本的に、経営権の譲り受けとなるので、一から開業するよりも民泊事業を安価でスタートすることが可能です。宿泊事業全体が低調となる中で、民泊事業をすぐに軌道に乗せることは難しいものの、しばらく耐え忍ぶことができるだけの資本力があれば、経営権を平常時より安く入手できるので、コロナ終息後に大きな収益を獲得できる可能性があります。

おわりに

 従来から民泊・ゲストハウス事業を営んできた事業者は現在厳しい状況に置かれています。観光客の激減などで事業撤退が進んでおり、民泊施設の賃貸住宅への切り替えも始まっています。その一方で、COVID-19収束後を見込んで、値下がりした民泊物件を買い上げる動きも出始めています。

M&Aの基礎知識
2022/03/31
タッピング(Tapping)
タッピング(Tapping)

タッピング(Tapping)

タッピングとは、M&Aの検討段階(買収または売却の検討)で、条件に合う企業(または事業)を候補先としてリストアップし、それらの企業に対しM&Aへの興味がどの程度あるかはかるために行う、初歩的なアプローチ(打診)のこと。

企業の買収・売却意思を相互に確認するため、その後の交渉のみならず関係性にも関わるため、非常に重要なタイミングです。情報管理が重要となります。

M&A・事業承継用語
2022/03/30
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 地方で事業主になるよりは 中小企業の最大の悩みの一つに「後継者問題」があります。その多くは、事業を引き継いでいくものがいない、という悩みです。事業を継承していきたくても、それを引き受ける相手がいないのです。特に地方の場合、...

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 中小企業や小規模事業者の後継者不足は全国に共通する問題だ。特に地方では、後継者がおらず廃業するケースが後を絶たない。そんな中、地方への移住希望者を後継者に迎える動きが盛んになっている。地域に根ざす「…

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2022/03/18
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M&Aニュース
2022/03/11
会社を売る場合の相場はどれくらい?企業価値評価算出の方法を解説
会社を売る場合の相場はどれくらい?企業価値評価算出の方法を解説

会社を売る場合の相場はどれくらい?

 M&Aで会社を譲渡する場合、自分の会社はどのくらいの価値があり、金額としてはいくらで評価してもらえるのでしょうか。逆に、M&Aの話が持ち込まれた際に、買い手として、どのくらいの金額を提示すればよいのでしょうか。M&Aを行う場合、売り手はできるだけ高く売りたい(評価してほしい)、買い手はできるだけ安く買いたい(投資額を抑えたい)と考えるのが通常だと思います。

 企業の価値が一体どのようにして決まるのかがわかれば、会社を売る場合の相場感もわかるはずです。そこでこの記事では企業価値評価の方法についてその概要を説明していきます。

会社を売る場合の相場を計算するには、企業価値評価算出

図表1: 企業価値評価の方法とその特徴

アプローチ

 (出所: 公認会計士協会(2013)「企業価値評価ガイドライン」

 

 企業価値を評価する手法は様々なものがありますが、一般的な評価方法にはその企業

の何に着目するかによって、インカム・アプローチ、マーケット・アプローチ、コスト・アプローチの 3 つに区分されます。ただし、企業評価の方法には幾つかの考え方があるものの、絶対的な評価方法というものは存在しません。絶対的に正しい評価方法があるわけではないので、評価対象となる企業の特性に合わせて評価方法を選択するのが大切です。上記、図1は、企業評価の方法とその特徴を示したものです。ここからは、それぞれの企業かつ評価の方法について詳しく説明していきます。

インカムアプローチ(企業の収益力に着目した評価方法)

 インカム・アプローチは、企業から期待される利益やキャッシュ・フローに基づいて企業価値を評価する方法です。具体的には、「DCF法(割引キャッシュフロー法)」や「収益還元法」などがあげられます。インカム・アプローチは評価対象会社が将来獲得すると期待される利益やキャッシュ・フローなど収益力をベースに評価する方法なので、将来の収益獲得能力を企業価値に反映させやすく、また、その企業独自の収益性などを基に評価するため、企業が持つ固有の価値を企業評価に示すことが可能です。

 譲受企業にとっての投資判断という意味では最も理論的な評価方法である一方、将来の利益やキャッシュ・フローを見積もる事業計画等の作成に対する恣意性の排除が難しいことも多く、企業価値評価の客観性が問題となるケースもあります。

マーケットアプローチ(株式市場における株価に着目した評価方法)

 マーケット・アプローチは、上場している同業他社や、類似する会社や事業の取引事例などと比較することによって相対的に企業価値を評価する方法です。マーケット・アプローチでは、評価方法に実際の株価の計算要素を盛り込みます。株価は、企業や業種が持つプラス要素、マイナス要素が十分吟味されたうえで、「買い手」と「売り手」の間で実際に取引が行われ、決定されています。そうした特性を持つ株価を計算要素に使って企業価値評価を行うことから、より具体性を持った評価方法ということができます。

このタイプには「類似企業比較法(類似企業株価指標倍率法)」や「類似業種比較法(類似業種比準価額法)」などがあります。

 市場で取引されている株式との相対的な評価アプローチであるためある程度客観性には優れていると言えます。マーケット・アプローチは第三者間や市場で取引されている株式との相対的な評価アプローチであるため、市場での取引環境などが反映されています。一方で他の企業とは異なる成長ステージにあるようなケースや、そもそも類似する上場会社が無いようなケースでは評価が困難で、評価対象となっている会社固有の性質を反映させられないケースがあるのも事実です。

 中小企業の大半は規模や業態などの類似する上場企業が無い場合も多く、中小企業の M&A においてこの評価方法を採用すると、実態に即した企業評価が困難な場合も少なくありません。類似した商品・製品を取り扱っていても、事業のコンセプトやビジネスモデルが全く異なる場合にも、旧来の企業とは収益性やリスクが異なることが考えられ、マーケット・アプローチを適用することによって誤った評価になる可能性がある点に留意すべきです。

コストアプローチ(企業の純資産に着目した評価方法)

 会社の貸借対照表上の純資産に着目して企業価値を評価する方法です。評価対象の企業が保有している資産を再構築すると仮定し、それに要するコストに観点を置いた方法で、保有している資産をベースに算出する方法となっています。

 帳簿上の純資産を基礎として評価をするため、帳簿作成が適正であれば、シンプルで客観性に優れているといえます。他方で、一定時点の純資産に基づいた評価方法のため、その企業の持つ将来の収益性を加味したり、景気や市場の取引環境を反映することは難しいと言われています。このタイプには「簿価純資産法」や「時価純資産法」などがあります。

 コストアプローチは、企業の存続を前提としていないため、企業を清算するとき(解散するとき)の価値である「清算価値」と言われることが多々あります。資産価値は、基本的に将来のことや今後の価格変動が反映されているわけではありません。また資産にいくら含み益があったとしても、その資産を売却しない限り、その含み益を実際に「現金」として手にすることはできません。会社がその含み益を「利益」として享受することはできないのであれば、事業継続が前提の会社の企業価値を考える上で、この含み益を価値として評価することに意味があるとはいえません。このため、「コストアプローチ」は資産をすべて売却して現金化するような局面、すなわち企業の”清算”の場面によく使用されます。

企業価値算定各アプローチのメリット・デメリットについて詳しくはこちら

中小企業等の M&A で採用される評価方法

 中小企業等の M&A における企業価値評価では、多くの場合、上記③のコストアプローチによる評価方法が基準となっています。また、その中でも企業の貸借対照表に表示

されている資産負債をそれぞれ時価に評価し直し、それらの合計額の差額を企業価値として評価する「時価純資産法」が採用されています。その理由は、評価の時点における企業の正味財産価値を客観的に求めることができることから、誰が行ってもある程度同じような評価結果を得ることができ、企業価値の評価に恣意性の入る余地が小さいことがあげられます。

 しかし、この評価方法では、前述の通り、一定時点の純資産に基づいた価値にすぎず、将来の収益性や景気、市場の環境変化等が企業価値に反映されていません。そこで、時価純資産法の評価額に M&A 後における収益力や予想される事業シナジーを考慮した「営業権」を加算することによって、継続企業としての企業価値評価を実現しています。

時価純資産法による評価額 + 営業権の評価額

 すでに説明したように、非上場である中小企業M&Aにおける企業価値には絶対的かつ客観的な価値は存在しません。あくまでも、最終的な取引価格は、外部環境や業界動向、M&A マーケットにおける需給状況、会社内の潜在的なリスク等を総合的に勘案して、当事者間の価格交渉によって決まります。特定の場面では特定の評価アプローチを必ず採用すべきであるとは言い難く、採用すべき評価アプローチはもちろん、それぞれのアプローチの中で具体的にどういった評価法を用いるべきか、どのような前提条件をおくべきかといったことは、個々の場面によって変わるものと考えるべきです。

 中小企業のM&Aでは、企業価値を決めるのによく使われる計算式があり、ある程度の合理的な相場感、目安というものがありますが、上記の計算式と相場感を知っておき、その合理的なレンジの中で価格が決まるようになれば、割高に会社を買ってしまったり、割安に買いたたかれてしまうケースを減らすことが可能です。

おわりに

 会社を売る場合の相場感は、企業価値評価でよく用いられている計算式を使って計算することが可能です。どの評価方法にせよ、絶対的な価値を示しているわけではないことに注意が必要です。企業の価値は様々な要因によって決まります。上記で紹介した3つの方法はあくまでも企業価値を推定しているに過ぎないものです。まずは、インカムアプローチ・マーケットアプローチ・コストアプローチの概念を理解しておけば、相場よりも安い価格で会社を売ったり、相場よりも割高の価格で会社を買ったりせずに済むでしょう。厳密な計算は、実際にM&Aをしなければならなくなった際には、仲介企業や専門家に依頼して正確に行ってもらいましょう。

専門家への依頼なら一括お問い合わせのM&Aガイドへお気軽にご相談ください。

 

M&Aの基礎知識
2022/03/08