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【実例有】M&A仲介業者に対する不信感を抱く方へ~M&A取引は信頼できない? 解決のための取組みを紹介 〜
【実例有】M&A仲介業者に対する不信感を抱く方へ~M&A取引は信頼できない? 解決のための取組みを紹介 〜

M&A仲介会社への不信感

中小企業は日本の経済を支える存在です。しかし、中小企業においては、経営者の高齢化問題が指摘されており、事業の継続性を担保するためにも、どのように事業を引き継いでいくかが課題となっています。そこで注目されているのがM&Aです。

M&Aを活用して会社や事業を売却することで会社を存続させることができます。一般に、中小企業はM&A取引を自ら実行するだけのリソースを持っていないため、M&A仲介業者にM&A取引のサポートを依頼するのが一般的です。M&A取引のサポートをM&A仲介業者に依頼をすれば、当然、その報酬を支払わなければなりません。しかし、企業側からM&A仲介業者の報酬(支払側にとっては手数料)の額が妥当であるかどうかはなかなか判断することができません。結果として、報酬を支払う側である中小企業側にM&A仲介会社に対する不信感が生まれてしまっています。

この記事では、M&A仲介会社にM&A取引のサポートを依頼した実際のケースを取り上げながら、日本のM&A業界の構造的な問題点とその解決のための取組みについて解説していきます。

M&A仲介業者は信頼できるのか?妥当であるかどうかを判断する目安

M&A仲介業者は日本企業のM&A取引をサポートする存在です。M&A取引に関する専門知識を有する支援機関として、M&A取引を行おうとする中小企業の意思決定やその後の諸手続の段階において適正なサポートを行い、日本の中小企業のM&A取引を促進する役割が期待されています。

そうした役割が期待されているM&A仲介業者ですが、M&A仲介業者にサポートを依頼する中小企業が、M&A仲介業者の専門的な業務や手数料の妥当性などについて適切に判断することは困難です。このように、M&A仲介業者と中小企業には情報の非対称性が存在しています。M&A仲介業者の手数料には一律の基準がないことから、手数料の金額がいくらとなるかは、基本的に各M&A仲介業者に委ねられています。そのため、たとえM&Aが実現したとしても、M&A仲介業者が異なっていれば、当然発生する手数料の金額も異なります。

M&Aに際して苦労した中小企業経営者の声

出所: 中小企業庁(2020)『「中小M&Aガイドライン」について』p.3 

M&A取引のサポートのためには、M&A取引に関する専門知識に加えて、非定型的な業務が発生することも多く、その報酬額(手数料)は中小企業にとって大きな負担となるでしょう。しかし、ここで重要なのは、報酬(手数料)が高いか低いかではなく、M&A仲介業者の業務内容と手数料の金額が客観的に見合っているか否か、そして依頼者である中小企業やその経営者が納得できるか否かということです。ここを見誤ってはいけません。

中小M&A業界における報酬(手数料)の透明性と公正性を確保することを目的として、2020年3月に『中小M&Aガイドライン』が公表されました。このガイドラインの公表を受けて、M&A仲介業者は報酬の透明性と公平性を確保するための取組みをスタートさせています。特に重要な取組みとしては「レーマン方式」によるM&A取引の報酬体系の客観化の取組みが始まった点です。レーマン方式はM&A取引の売買金額に対して一定の成功報酬(手数料)率を乗じて報酬(手数料)を計算する方式で、あらかじめ報酬体系が決まっていることから、第三者による報酬の検証が可能となっています。中小M&A業界の透明性と公平性の確保の取組みはまだまだ始まったばかりであるものの、中小企業が安心してM&A取引を行える環境の整備は間違いなく進展しています。そこで以下では、M&A仲介業者に対する不信感を軽減するために、『中小M&Aガイドライン』ではどのような取組みが推奨されているのかについて解説していきましょう。

M&A仲介業者に対する不信感の軽減 〜『中小M&Aガイドライン』の策定 〜

M&A仲介業者に対する不信感をM&A業界から払拭することを目的として、2020年3月末日、中小企業庁は『中小M&Aガイドライン』を公表しました。『中小M&Aガイドライン』は、M&A仲介業者をはじめ、M&Aの支援機関の基本姿勢として、事業者の利益の最大化と支援機関同士の連携の重要性を提示したものです。M&A仲介業者に対しては、適正な業務遂行のために、以下のような取組みを行うことを示しています。

①売り手と買い手双方の1者による仲介は「利益相反」となり得る旨明記し、不利益情報(両者から手数料を徴収している等)の開示の徹底等、そのリスクを最小化する措置を講じる

②他のM&A支援機関へのセカンドオピニオンを求めることを許容する契約とする

③契約期間終了後も手数料を取得する契約(テール条項)を限定的な運用とする といった行動指針を策定

さらに、このガイドラインのなかでは、M&A仲介業者の着手金/月額報酬/中間金/成功報酬に関する考え方が示されていて、具体的事例とともに、手数料の金額イメージを示すことで、サポート内容と手数料が見合っているのか、客観的に判断する基準を提示が提示されています。

仲介業者の報酬(手数料)の事例

出所:中小企業庁(2020)「中小M&Aガイドライン」pp.47-49

これによって、中小企業側でもM&A仲介業者の提示する手数料が妥当であるかどうかを判断する目安とできるようになりました。

おわりに

中小企業におけるM&A取引はM&A支援機関のサポートがあってこそ成り立つものです。したがって、中小M&A取引にとってM&A仲介業者は欠かせない存在です。M&A支援機関がいなければ、中小企業における経営の引継ぎは大きく遅れをとることになるでしょう。

しかし、M&A仲介業者となるために免許が必要なわけではありません。M&A仲介業者のなかには悪質な仲介業者も存在しているのも事実です。そして、M&A仲介業者の報酬(手数料)については、中小企業側からみれば、不透明で不公正であると感じられるケースも多く不信感の源泉となっている実情があります。その結果、M&A支援機関の必要性が叫ばれる一方で、その質の担保が求められるようになりました。現在では、中小企業庁が『中小M&Aガイドライン』を公表するなど、中小M&A業界の透明性と公平性を担保する取組みも進められています。

中小企業は、M&A仲介業者の業務内容が具体的に何であるのか、手数料の算定方法と発生時期はどのようになっているか、という点について入念に確認しましょう。そうすることで、M&A仲介業者との情報の非対称性は緩和されるはずです。

M&Aの基礎知識
2022/05/30
会社をたたむにはいくらかかる? 費用感を解説します。
会社をたたむにはいくらかかる? 費用感を解説します。

はじめに

東京商工リサーチによると、2021年(1-12月)の「休廃業・解散」企業(このコラムでは会社をたたむと表現します)は、全国で4万4,377件となりました。この数字は、過去に会社をたたんだ数が最多であった前年度の4万9,698件から1割以上減少したかたちです。

2020年と比較して会社をたたんだ件数が少なくなった理由は、コロナ禍での政府や自治体、金融機関の強力な資金繰り支援があったためです。2021年の企業倒産は6,030件と1964年以来、57年ぶりの低水準となるなど、会社をたたむまではいかずとも、厳しい状況に置かれていることには変わりありません。支援策が、会社をたたむかどうかの判断を先送りにし、会社をたたむことを考える経営者が減少した可能性は否定できません。

それでは、会社をたたむためには、どれくらいのコストがかかるのでしょうか。この記事では、会社をたたむ理由について明らかにしたうえで、会社をたたむ際の費用感について解説していきます。

会社をたたむ理由とは

会社をたたむとは、事業活動を停止し、株主総会で解散決議と清算結了を確認したうえで、登記を行うことを意味します。会社をたたむ方法には、法的清算と私的整理の2つの方法があり破産法・会社法に則って手続きを行うのが法的清算、特定の支援制度に則って手続きを行うのが私的整理と呼ばれます。

会社をたたむ理由は企業によって異なるのが普通です。企業ごとに置かれた状況は異なるため、それぞれの事情で会社をたたむことになるでしょう。少し古いデータとなりますが、中小企業庁が委託して、帝国データバンクが調査したところによれば、会社をたたむことを考えるきっかけとして最も多いのは、経営者の高齢化、健康(体力・気力)の問題であるとされています。次いで、売上の減少が理由として挙げられており、この2つの理由だけで60%以上もの会社が会社をたたむことを考えていることが示されてます。

会社をたたむことを考えたきっかけ

出所:中小企業庁委託「中小企業者・小規模企業者の廃業に関するアンケート調査」(2013年12月、(株)帝国データバンク)を参考に筆者作成

会社をたたむことを考えるきっかけとしては、経営者の高齢化と売上の減少が多いものの、実際に会社をたたむ理由としてはどのようなものがあるでしょうか。以下の円グラフが、実際に会社をたたんだ理由を示しています。

会社をたたんだ理由

出所:中小企業庁委託「中小企業者・小規模企業者の廃業に関するアンケート調査」(2013年12月、(株)帝国データバンク)

この結果が示しているように、経営者の高齢化、健康(体力・気力)の問題は、日本の中小企業が抱える構造的な問題です。高齢化が理由で会社をたたんだり、事業の先行きに対する不安、主要な販売先との取引終了などが会社をたたむ大きな理由となっています。

3. 会社をたたむときにかかる費用感

会社をたたむには、各種登記が必要となるため、まずは登記のための費用が必要となります。各種登記に関しては、登記に関する手数料として以下の金額が定められています。

  • 解散登記:3万円
  • 清算人登記:9,000円
  • 清算結了登記:2,000円
  • 官報公告の掲載費用:10行分で約3万5,000円

解散登記と清算人登記は同じタイミングで行うのが普通です。債権者に遅滞なく会社の廃業を伝えるために、官報公告も行わなければなりません。会社をたたむタイミングで債務が有るケースでは、債務の弁済がどうなるのかが問題となります。債権者が異議を申し出る機会を与えるために、通常、清算人が官報で会社をたたむことについて公告を行い、解散通知を行います。官報への解散公告が会社法499条で規定されている趣旨はそのためです。解散公告は2ヶ月以上掲載するのが普通です。この手続を通じて債権者を保護する手続きをとったのち、清算人は債務を確定させることができます。官報への広告は行数によって費用が異なりますが、会社をたたむことに関して必要となる公告はおよそ4万円程度に収まるのが一般的です。

これだけをみると、合計で10万円未満となるため、会社をたたむときにかかる費用はそれほどかからないと考えられるかもしれません。しかし、実際には、これ以外にも、債務の弁済のための手続きなどのために、弁護士・司法書士・税理士といった専門家に手続きを任せるのが一般的です。そのため、こうした専門家に対する報酬を支払う必要があります。会社をたたむための手続きを行うにあたっては、会社の様々な利害関係者に対して手続きが必要となります。取引先、従業員、自治体などへの対応が必要となりますが、瑕疵なく会社をたたむための手続きを行うためには、専門家へ依頼しておいたほうが良いでしょう。

通常、会社をたたむ際の手続きは、裁判外で行われる手続きであるため、裁判手続ほど複雑な手続きは必要ありません。裁判外で行なえるようになっている理由は専門家に頼らずとも経営者自身の責任で会社をたたむ手続きを行えるようにするためです。とはいうものの、会社の解散のための事務処理に加えて法的な手続きも同時に行わなければならないことから、通常は、弁護士や司法書士などに依頼するケースがほとんどです。大きな会社であればあるほど、利害関係者の数も多くなるためその傾向が強くなります。

特に、会社をたたむにあたって従業員を解雇しなければならないケースがあります。日本では、従業員を容易に解雇できないように法整備が進んでいるため、会社をたたむケースでも法的な手続きが必要となります。清算人となる方において従業員の退職や解雇についての対応が可能であるケースもありますが、通常は弁護士に依頼することでスムーズに解雇手続きが進むように手配します。

専門家に対する報酬はそれぞれ異なっているため、おおよその費用感となりますが1件あたり数十万円となるケースが多いです。事務所などを賃貸で借りているケースでは、退去費用を支払う必要がありますし、契約次第で原状復帰のための費用を支払うケースもあるでしょう。従業員への退職金を支払うことも必要となりますし、債務がある場合には、これらの債務をすべて弁済しなければなりません。

このように、会社をたたむために必要となる登記手続き自体の費用はあまりかかりません。しかし、実際には、登記以外のところで費用はかさむことになるでしょう。会社の規模が大きくなれば、利害関係者の数も多くなるので、その対応のために専門家に依頼するということも多くなるはずです。そうなれば、数百万程度の費用がかかるケースもあると言えるでしょう。

おわりに

会社をたたむということは、その後の事業活動を恒久的に停止することを意味します。企業の経済活動のためにはお金が必要となることから、株主や債権者に対してまずは会社をたたむことについて説明しなければなりません。会社をたたむためには通常登記が必要ですが、登記の手続きそのものにはそれほど費用はかからないと言えるでしょう。しかし、実際のところ、株主や債権者に対する手続きは専門的な知識が必要となることも少なくありません。その場合には、専門家に依頼することになりますが、その分、費用がかかります。したがって、会社をたたむ場合にも、数百万円の資金を準備しなければならないと言えるでしょう。

M&Aの基礎知識
2022/05/27
M&Aにおける利益相反問題と解決策 〜M&A仲介業選定時の留意点〜
M&Aにおける利益相反問題と解決策 〜M&A仲介業選定時の留意点〜

M&A取引の構造的な問題

中小企業経営者の高齢化が進む日本においては事業の承継が重要な課題として認識されており、事業承継の一つの方法としてM&Aが注目されています。中小企業庁も『M&Aガイドライン』を発表するなど、積極的にM&Aを推進しようとしています。中小企業はM&Aの知識と経験が少ないこと、そして、相手探しが非常に難しいことなどが理由となって、M&A仲介業者に取引のサポートを依頼するのが一般的です。こうした背景から近年ではM&A仲介業者が数多く誕生しています。しかし、M&A仲介業者は、M&A取引を行う当事者企業の買い手側の利益を優先しやすいという構造的な問題を抱えていると言われています。そこでこのコラムでは、M&A仲介業者の利益相反問題について詳しく解説していきます。

利益相反問題とは

M&A仲介業者とは、売り手と買い手をマッチングさせる企業のことを言います。売り手と買い手の両方からM&A助言を委託され、両者の交渉を調整し、M&A実務の遂行をサポートするのが、M&A仲介業者の仕事です。一般に、中小企業の場合は、売り手と買い手の間に同一のM&A仲介業者が介入して、会社や事業の売買を取り持つという実務が行われています。

このとき、M&A仲介業者は、M&A取引の当事者である買い手・売り手の両方から報酬を得ることになります。M&A取引の当事者である買い手・売り手の両方から報酬を受けることは、M&A仲介業者の「両手取引」と呼ばれますが、この両手取引については、以前から、一方の利益の最大化を図るともう一方の利益を毀損するという「利益相反」に該当する可能性があることが指摘されてきました。

たとえば、売り手が買い手に会社の事業を売り渡す場合(事業譲渡)、売り手にとってその代金(譲渡対価)が高い方が望ましいことから、売り手側は譲渡対価をできるだけ高くしたいというインセンティブを持っています。一方で、買い手側は譲渡対価が安い方が望ましいことから、買い手側は譲渡対価をできるだけ安くしたいというインセンティブを持っています。そのため、M&Aの両当事者には利益相反関係が存在すると考えられているのです。このような構造から、M&A仲介業者は、片方の当事者(特に今後のリピーターとなる可能性が買い手側)の利益を優先して取引をまとめるように動く可能性がゼロではないということが指摘されているのです。

連続的に事業に取り組む場合を除き、基本的に売り手にとってM&A取引は一回限りのもので、自分の企業を売却すればそれ以上の取引はありません。しかし、買い手はその後も他の企業や事業を買収する可能性があります。M&A仲介業者にとっては、一回限りのビジネスにしかならない売り手に寄り添うよりも、今後もビジネスの可能性がある買い手に寄り添った方が得になるという偏りが構造的に存在してしまっているのです。

この問題は、M&A仲介業者の利益相反問題と呼ばれ、大きな問題となりました。2020年12月、当時の行政改革・規制改革相であった河野太郎氏から改めてM&A仲介会社の利益相反問題が取り上げられました。M&A仲介業者の利益相反は日本において直ちに違法となるものではないものの、欧米などにおいては、両手取引が利益相反問題に発展する可能性が高いことから行われていません。

利益相反問題のリスクを低減する取り組み:公正な取引に向けて

M&A仲介業者の利益相反問題は河野氏に指摘される前から指摘されていたことではありました。しかし、M&A仲介業者の利益相反問題が改めて注目されるようになったのは、M&A仲介業者の乱立が目立つようになってきたからです。

そもそも、M&A仲介業者となるためには免許等が必要というわけではありません。極端に言えば、M&Aの仲介業者ですと名乗れば誰でもM&A仲介業を行うことができます。近年、中小企業経営者の高齢化問題が取り沙汰されるようになり、その解決策としてM&Aが注目されてきた結果、M&Aの仲介に需要が生まれたために多くのM&A仲介業者が誕生しました。しかし、M&A仲介業者として必要となる能力や資質を欠く事業者もそのなかに混ざるようになってしまったのです。

その結果、本来、M&Aの当事者企業同士が、M&A取引をスムーズに行えるようサポートするのが仕事であるM&A仲介業者によって、M&A取引そのものが阻害されるリスクが高くなりました。そうした事情から、中小企業庁は、2020年3月末日に『中小M&Aガイドライン』を公表し、M&A取引が公正な取引となるように手を打ちました。

このガイドラインによれば、中小企業のM&A取引においては、売り手企業と買い手企業のそれぞれに財務アドバイザーがサポートする形態ではなく、仲介業者が両当時企業をサポートするという形態の方が多く用いられているのが現状で、仲介業者という業態を中小M&Aにおいて不適切であるとすることは現実的ではないとされています。つまり、仲介業者の利益相反は問題であるとの認識を示したうえで、それでも中小M&A取引では、仲介業者に頼らざるを得ない実情が浮き彫りとなったのです。

そこで、中小企業庁は『中小M&Aガイドライン』において、仲介業者は利益相反のリスクを低減すべく以下のような取組みを行うことを推奨することを公表しました。

(1)譲り渡し側・譲り受け側の両当事者と仲介契約を締結する仲介者であるということ(特に、仲介契約において、両当事者から手数料を受領することが定められている場合には、その旨)を、両当事者に伝える。

(2)バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)、デュー・ディリジェンスといった、一方当事者の意向を踏まえた内容となりやすい工程に係る結論を決定しない。依頼者に対し、必要に応じて士業等専門家等の意見を求めるよう伝える。

(3)仲介契約締結に当たり、予め、両当事者間において利益相反のおそれがあるものと想定される事項について、各当事者に対し、明示的に説明を行う。また、別途、両当事者間における利益相反のおそれがある事項(一方当事者にとってのみ有利又は不利な情報を含む。)を認識した場合には、この点に関する情報を、各当事者に対し、適時に明示的に開示する。

中小企業庁が公表したこのガイドラインによって、M&A仲介業者の利益相反問題が完全に解決するわけではありません。あくまでも、M&A仲介業者が上記の取組みを行うことで利益相反リスクを軽減するというものです。このガイドラインは、法的拘束力を持っているわけではありません。このガイドラインを守るかどうかは、M&A仲介業者に任されていますが、多くのM&A仲介業者がこのガイドラインを遵守することをホームページなどで宣言しています。こうしたことから、中小企業庁によるM&A取引を公正なものとする取組みも一定の成果をあげていると言えるかもしれません。

中小M&Aガイドライン』について(経済産業省)

M&Aにおける利益相反問題と解決策

買い手企業がリピーターとして得意先となりやすいM&A業界において、売り手企業側に不利にならないような対策に努めることがM&A仲介業者には求められています。解決策として中小M&Aガイドラインが定められ以上、このガイドラインを遵守していないM&A仲介業者は市場から淘汰されていく可能性が高くなります。参入障壁の低さから能力や資質に欠けるM&A仲介業者が乱立していた現状も改善してくるかもしれません。今後、このガイドラインをきちんと理解し、両当事者がM&A取引をスムーズに行えるようサポートすることがM&A仲介業者には求められることになるでしょう。

M&Aガイドでは、M&A支援機関登録済みのM&A専門家を検索することができます。仲介業者・専門家選定にお悩みの方は、ぜひご相談ください。

 

M&Aの基礎知識
2022/05/30
「親族内承継」とは~親族内継承の特徴と課題~
「親族内承継」とは~親族内継承の特徴と課題~

事業承継の方法

経営者の高齢化が課題となっている中小企業においては、事業を承継するのは非常に重要な課題です。事業を承継する方法としては、(1)親族内承継、(2)従業員等への承継、(2)M&Aの3つがあります。この記事では、事業承継方法のうち、家業を継ぐための方法である「親族内承継」についてわかりやすく解説していきます。(事業承継の種類について違いや傾向、特長などの解説はこちら

親族内承継~どのように家業を継ぐか ~

従来、家業とは「生計を立てるために始めた職業」を意味する言葉であり、「先代から代々受け継がれてきた職業」を意味する用語です。しかし、株式会社という会社形態が幅広く採用されている現代において、家業とは「親が展開している事業」という程度の意味に変化しました。つまり、家業を継ぐとは、子どもが、「親が展開している事業」を継ぐことを意味します。

一般に、親が展開している事業を子どもに継がせることは「親族内事業承継」と呼ばれます。たとえば、経営者である父親から長男に事業を継がせるのはその典型例と言えるでしょう。親が個人事業主の場合には、親が自身の責任において事業を行い、取引先や顧客との契約関係を持って、事業用資産を所有しています。したがって、その会社の本質は「経営権」にあると考えることができます。したがって、真に経営の承継を実行するには、形式的に「開業届」「廃業届」を提出するにとどまらず、事業に関わる契約関係・所有関係の承継が不可欠となります。

それでは、親が展開している事業をどのように継いだら良いのでしょうか。親族内事業承継を行う場合、先代の経営者から後継者に対して株式を譲渡することで経営権の譲渡・相続を行います。株式を譲渡・相続することで家業を継がせるのです。

親族内承継の特徴

他の事業承継の方法を比べた場合、親族内承継には次のような特徴があります。

(1)周囲からの理解や協力を得やすい

大企業の事業承継の場合、経営者の交代には株主総会による承認が必要となるなど、かなり大掛かりとなるのが一般的です。しかし、中小企業の経営者や個人事業主である親から家業を継ぐケースでは、創業者や現経営者である親とのつながりが強い親族が事業を承継することが多くあります。他の選択肢があっても、中小企業や個人事業主の場合、親族内承継が多く行われています。その理由は、社内外の関係者を納得させやすいからです。

中小企業や個人事業主の場合、血縁関係がない外部の経営者を連れてくることは大変難しいのが現実です。なぜなら、その事業をそもそも知っている人が多くありませんし、事業を承継したいと考える人も多くないからです。そのため、中小企業や個人事業主の多くは、親族内承継を選択します。親族内承継を選択するのが一般的であることから、社内外の関係者もそういうものだと納得してくれるので、事業を承継しやすいのです。経営者が、社内の役員や従業員に対して後継者となる親族を紹介して、理解を得ておけば、スムーズに事業を承継できるでしょう。後継者候補が明確に決まっており、後継者本人にも経営を引き継いでいく意思があるなら、早い段階で会社内・取引先・金融機関などにも周知しておくと、トラブルを事前に回避できます。

(2)後継者となる経営者を育てる時間がある

後継者となる経営者を育てる時間を十分にとれることも、親族内承継の特徴の一つです。会社の従業員として後継者を雇い入れることで、後継者候補であることを内外に周知することもできます。後継者となる親族に経営者としての資質が無ければ、せっかく事業を承継したとしても、事業を軌道にのせることができず、廃業してしまうかもしれません。そのため、後継者としての教育も早めに行っておく必要があります。親族内承継であれば、経営者としての仕事を十分な時間の猶予がある中で引き継ぐこともでき、その会社特有の事情も十分に引き継ぐことが可能です。積極的に取引先や金融機関との打合せにも後継者となる親族を同席させ、社外にも後継者として認識させておくと良いでしょう。このような事情から、中小企業・自営業においては、親族内承継が多く採用されています。

親族内承継で対応すべき課題

親族内承継は、他の事業承継方法と比較すると、税負担への対応や株式・事業用資産の分散防止、債務の承継への対応に関して特に大きな課題が発生しやすいです。以下では、それぞれの課題について詳しく解説していきましょう。

(1)税負担への対応が必要

親族内事業承継では、先代の経営者から後継者に対して、株式や事業用資産を贈与したり、相続したりすることで移転することになります。この場合、贈与税・相続税の負担が発生します。しかし、事業承継にあたって、後継者には資金力が不足しているケースも多く、場合によっては会社財産から後継者の納税資金を充填するケースも少なくありません。可能な限り速やかに、税務面に関しては税理士に、資金調達については金融機関等に対して相談するなど、支援機関の適切な助言を仰ぐことが必要となるでしょう。

(2)株式・事業用資産の分散

親族内承継は先代から会社事業を引き継ぐと同時に、配偶者・親子・兄弟関係という関係上、同時に相続が絡んできます。親族内承継では、先代の経営者から後継者に対して株式を譲渡することになります。その際に用いられるのが株式の相続です。株式を相続する際に、遺産分割等の結果によって、株式が多数の相続人に分散する場合があります。株式が分散してしまうと、株主総会の運営をはじめとする株主管理コストが増加し、場合によっては株式の買取りを請求され会社の資金流出が生じるといったトラブルが発生し、事業の円滑な承継が難しくなる可能性があるので注意が必要です。事業用資産の承継に際しても、同様の問題が生じる可能性があります。分散を防止する最もシンプルな対策は、相続発生前に、先代経営者から後継者へと株式・事業用資産の生前贈与を行っておくことですが、親族内に複数の後継者候補がいる場合、トラブルとなる可能性がある点にも留意しておきましょう。

(3)債務の承継への対応が必要

中小企業においては、経営者個人が借入れを行って会社に貸し付けている場合や、会社の借入れについて現経営者が個人(連帯)保証を提供している場合、自己所有の不動産等を担保に提供している場合などがあります。当然、先代の経営者から後継者へ事業を承継する際には、債務の承継について対応しておかなければなりません。

たとえば、現経営者が個人で事業用資金を借り入れていることを考えてみましょう。この借入債務を相続する際に、後継者が単独で免責的に引き受けようとしても、これには金融機関等の債権者との契約またはその承諾が必要になります。金融機関等の債権者が承諾しなければ、後継者に借入債務を承継することはできません。したがって、債務の承継への対応を早めに行っておく必要があります。

家業を継ぐことが決まった場合には、早めに事業承継の方法を検討しておきましょう。

親族内事業承継の方法を採用する場合には、株式と事業資産の承継が大きな課題となります。具体的には、贈与や相続の問題として、税金関係の課題が多くなります。贈与税・相続税などの支払いが必要となるため、事前に資金を用意しておかなければなりません。個人で資金を用意することが難しい場合には、金融機関などの相談してみると良いでしょう。近年では、事業承継に関しては税制が整備されており、補助金や税制優遇を受けられる制度も整備されてきています。承継することが決まっている場合には、早めに関係する金融機関や税理士などに相談しておくと、スムーズに事業の承継が可能です。

M&Aの基礎知識
2022/05/27
事業ポートフォリオ
事業ポートフォリオ

「事業ポートフォリオ」とは、企業の複数の事業を一覧化し構成を表したものです。

事業ポートフォリオは、企業が利益を生み出している事業を組み合わせて、各事業の収益性・成長性・安全性などを一覧化することにより、俯瞰的に把握し経営判断に役立てられます。限られた経営資源をどのように活用するかの検討にも用いられます。

M&A・事業承継用語
2022/05/21
レーマン方式とは?~M&Aにおける報酬はどのように決まる?~
レーマン方式とは?~M&Aにおける報酬はどのように決まる?~

はじめに

中小企業経営者の高齢化に伴ってM&Aを利用した事業承継が活発に行われています。中小企業にはM&A取引を行うだけのリソースが限られているため、M&A仲介業者にM&A取引を委託するのが一般的となっています。

一方で、M&A仲介業者に支払う報酬(手数料)の不透明さや不公正さが問題となっています。M&A仲介業者ごとに、中小企業側が支払うべき手数料が異なっていて、“中小企業側がその報酬額が妥当であるかどうかが判断できない”ことが大きな問題となっているのです。M&A仲介業者が利益を得る方法は様々です。取引ごとに定額で手数料を徴収する方法、取引額に応じて手数料を得る方法、あるいはその両方を組み合わせた方法などがあります。

結果として、M&Aにおける手数料の算定方式の標準化を目指して、近年では手数料の算定方式が一定程度整備されました。M&Aにおける手数料の算定方式としては「レーマン方式」と呼ばれる方式が広く実務に浸透しています。

今回は、M&Aにおける手数料の算定方式である「レーマン方式」について詳しく解説していきます。

レーマン方式の由来 〜M&Aにおける報酬を計算する〜

レーマン方式によるM&A仲介業者の報酬計算式はもともとリーマン・ブラザーズが顧客のために事業資金を調達する際に使用するために1960年代後半に開発されたものです。英語圏はLehmann Formulaと呼ばれており、英語圏の発音に則ればリーマン方式と呼ぶほうが妥当でしょう。

それでは、なぜ日本ではレーマン方式という呼び方となっているのでしょうか。

その理由は、日本においては、レーマン方式は「ドイツの経営学者であるレーマンの学説を応用した成果配分方式」として説明されているからです。

しかし、日本でレーマン方式について説明したもののなかに、レーマンの学説を説明したものは一切ありません。そもそも、レーマンは企業の業績である売上高・付加価値・営業利益・経常利益等を労働者の貢献度合いによって付加価値を計算する計算式を提示したに過ぎません。

英語圏の資料を紐解けば容易にわかるように、レーマンの学説を応用した成果配分方式であると説明しているものはなく、レーマン方式はレーマンの学説に由来するというのは根拠のない説明であることがわかります。英語圏では、リーマン方式の由来はリーマン・ブラザーズが開発したものであるという説明が有力です。

もともと、グローバルな投資銀行サービスを提供するリーマン・ブラザーズはサービスに対する手数料を顧客に明確に伝える方法を必要としていました。レーマン方式の利点は、誰にでも理解しやすく、顧客が取引でどれだけの手数料がかかるかすぐに概算を知ることができる点にあります。その後、レーマン方式による報酬の計算は、ビジネス・ブローカー、M&Aアドバイザー、投資銀行家、その他あらゆる規模の事業売却の仲介を行う専門家に支払われる手数料を計算するために広く適用されるようになりました。

リーマン・ブラザーズがレーマン方式による計算式を開発する以前は、金融機関によって手数料が大きく異なり、なかには手数料が総額の15%以上に達するケースもありました。

この報酬方法は、バラツキのある手数料を標準化する方法として1990年代まで広く利用されています。レーマン方式による計算式は、もともと100万ドル以上の取引に適用され、次のように計算されていました。

  • 最初の100万ドルの5%
  • 2回目の100万ドルに対して4%
  • 3回目の100万ドルの3%
  • 4番目の100万ドルの2%

このように計算していき、400万ドル以上の取引については1%の手数料となります。レーマン方式では、投資銀行手数料は取引額に対するパーセンテージで構成され、段階的な手数料が設定されるのが普通です。

レーマン方式による報酬計算の実情

レーマン方式を利用した報酬計算は、2020年3月に中小企業庁が公表した『中小M&Aガイドライン』でも説明されています。そこでは、「レーマン方式は、「基準となる価額」に応じて変動する各階層の「乗じる割合」を、各階層の「基準となる価額」に該当する各部分にそれぞれ乗じた金額を合算して、報酬を算定する手法」とされています(中小企業庁『中小M&Aガイドライン』p.46)。

中小M&Aガイドラインに掲載されているレーマン方式の例

出所:中小企業庁(2020)『中小M&Aガイドライン』p.46

M&A仲介業者は、M&A当事者である譲渡側・譲受側双方と契約締結の上、譲渡側・譲受側双方に対して手数料を請求するのが普通です。レーマン方式による報酬計算は、標準化された計算方式ではあるものの、「基準となる価額」について決まった額があるわけではありません。「乗じる割合」についても同様です。

したがって、各M&A仲介業者によって基準となる価額、乗じる割合は異なることになります。レーマン方式による報酬計算は、こうした体系表をM&A取引の当事者に事前に提示することができるため、透明な手数料設定が可能となり、M&A取引の当事者である中小行経営者も納得しやすいというメリットがあります。

一方、M&A仲介業者にとっては、売り手側の提示額が小規模である場合、「基準となる価額」が小さくなることから、十分な成功報酬を確保できないケースがあるというデメリットがあります。通常、M&A仲介業者は、こうしたリスクを未然に防ぐために、別途最低手数料を設けているケースが多いです。

報酬の計算には、レーマン方式以外にもいくつかの計算方法があります。たとえば、会社を売却する価格の目標値を設定して、この評価額に対する基本的な報酬を売り手との間で合意しておくものの、それ以上の価格で売却することができれば、M&A仲介業者は順次高い報酬を得ることができる、という「スケールドパーセント方式」です。

たとえば、800万ドルで売却した場合、3%の手数料を得ることができるものの、900万ドル以上で売却した場合、手数料は3.5%に跳ね上がり、1000万ドル以上で売却した場合は、最高で4%となるようなケースです。この報酬体系はM&A仲介業者が最高価格を付けてくれるような買い手となる企業を見つけるインセンティブを与えるものです。ただし、日本の中小企業に対してM&A仲介業者は買い手・売り手の両方から報酬を得ているため、スケールドパーセント方式はあまり用いられていません。

おわりに

レーマン方式によるM&A仲介業者の報酬計算は、報酬の透明性と公正性を担保するための一つの方法に過ぎません。レーマン方式は、日本では、ドイツ経営学由来の計算方式であると説明されることが多いものの、英語圏では米国由来の計算方式であると説明されています。結局のところ、M&A仲介業者の報酬を透明あるいは公正にするというのは非常に難しい課題です。「〜%以上の報酬を受けてはいけない」というルールを作っても、それはM&A仲介業者の競争を阻害する可能性があり、M&A業界の健全な発展を妨げる可能性があります。したがって、現在は、中小企業庁が『中小M&Aガイドライン』を公表して、M&A仲介業者の報酬に一定の制限をかけています。M&A仲介業者もガイドラインを積極的に守ることでM&A仲介業者を利用する中小企業が安心して取引を依頼できる環境作りが行われており、M&A業界の健全な発展が期待されています。

 

M&Aの基礎知識
2022/05/18
社長が「会社売却」を真剣に考える理由は?よくある売却理由5選
社長が「会社売却」を真剣に考える理由は?よくある売却理由5選

 はじめに

経営者(社長)が会社売却や事業売却を考える理由としてどのようなものがあるでしょうか。

自分のビジネスを持つことは、非常にやりがいがあり充実したものですが、いつかは出口戦略を検討しなければならないときがきます。会社や事業を売却するという決断は、会社にとって重要な選択のひとつです。会社や事業を売却するタイミングは事業価値がピークに達したときや事業を良いタイミングで引き継げるときに合わせるのが理想的ですが、それを予測するのは困難です。この記事では経営者が会社売却や事業売却を考える理由を5つ紹介していきます。

社長が会社売却を考える理由

経営者が自分の会社や事業の売却を考える理由は様々です。経営者の個人的な事情である場合もあれば、会社が置かれた事業環境の影響の場合もあるでしょう。以下では、経営者が会社・事業の売却理由として挙げることの多い順に説明していきます。

売却理由①:後継者不在による事業承継

経営者が会社売却を考える理由として最も多いのは後継者が不在であるためです。個人事業主である場合もそうですが、特に、従業員を抱えているケースでは簡単に会社をたたむこともできないので、事業を承継しなければなりません。この場合、後継者を探して事業を承継しなければなりませんが、そのときに用いられるのが、「経営者が保有する株式を売却して事業を承継する」という方法です。つまり、経営権を企業外部あるいは内部に譲渡して会社を存続させます。そして、自身は会社経営から退く、またはアドバイザーとなります。近年では、特に中小企業において、経営者の高齢化とともにどのように事業を継続させるかが問題となっており、その際、後継者がいないことが大きな問題となっています。

売却理由②: 創業者利益の獲得

創業者が保有する株式を売却して利益を得る目的で会社売却を行うケースもあります。一般に、これは創業者利益の獲得目的の会社売却と呼ばれます。創業者利益とは、会社の設立に際して株式を引き受けた創業者が、自身が保有する株式を株式市場に売りに出した際に獲得できる、株式の時価と払込額面価額(取得原価)との差額を言います。

創業者は会社が利益を獲得するために事業を展開し、事業が獲得した利益から従業員・サプライヤー・負債・税金などあらゆる支払いを行っています。そのためには、多くの労働時間と知力を捧げなければなりません。創業者は、事業を展開し始めた頃、積極的にリスクをとって事業を成長させようとするでしょう。なぜなら、失うべき会社の価値がまだあまりないからです。創業者がビジネスを成長させたいのであれば、リスクを取ることは重要なことです。しかし、会社が大きくなるにつれて、会社の価値も大きくなります。会社の価値が大きくなると、それを毀損する恐れから経営者が大きなリスクを忌避し、より保守的になる場合もあります。

多くの人が自分のビジネスを持つことを夢見ますが、ひとたびそれが現実となると、その仕事量に圧倒されることになるでしょう。その結果として、燃え尽きてしまうということも少なくありません。多くの経営者は、事業の繁栄のために人生を捧げてきたのですから、その成果を享受するのが当然です。また、ビジネスを売却しても、パートタイムのコンサルタントとして残ることで、趣味を楽しみながら、ビジネスをより身近なところで支援する経営者もいます。年齢を重ねた創業者は誤った戦略の修正に何年も費やしてダメージコントロールするような余裕はもはやないため、会社を失いかねない危険な状況を避けるようになるでしょう。こうした場合、創業者は、常に投資からの撤退(事業からの撤退)を考えているはずです。

それは、会社が悪い状況にあるからではなく、それが個人的に賢明なビジネス上の決断だからです。こうした理由から、創業者利益を獲得するために、会社を売却する場合があります。

売却理由③:「先行き不安」と「業績不振」

会社の将来性に不安を抱えていたり、会社の業績が不振だったりするケースでも、経営者は会社売却・事業売却を検討するでしょう。経営者が会社や事業の売却を考えていないときでも、個人・グループ・他社から魅力的なオファーがある場合もあるかもしれません。

会社の将来性に不安があり、経営者自身の能力や熱意ではどうしようもないケースや、業績不振が続いていて、経営者としての資質が疑わしいときに、経営者は会社から身を引くことを考えた方が良いケースもあります。

不透明な事業環境におかれた会社であればあるほど、経営者は、将来にわたって独力で会社を運営していくことに不安を感じ、資金力がある大手企業の傘下に入ったほうがいいと考えることになります。その方が、会社のためにも会社で働く従業員のためにも良いとの判断のもとで、会社や事業の売却を検討することになるでしょう。

売却理由④:戦略的撤退〜「選択と集中」〜

ある事業の業績不振が続いているケースでは、戦略的にその事業からの撤退を考え、事業売却を検討する経営者もいます。ただし、戦略的撤退は、決して後ろ向きの決断ではなく、業績不振の事業以外の事業に集中し、会社を守るための前向きの決断であると考えるべきです。

この場合、経営者は、選択と集中という戦略のもとで、事業の売却を考えることになります。選択と集中とは、不採算事業を売却して、成長事業に集中して経営資源を投入する戦略のことです。より大きな競争力を持つ新しい経済プレーヤーの出現は、自社のビジネスを脅かす可能性があります。このような場合、競合他社に顧客と市場を奪われるのを待つよりも、その会社が存在し続ける間に売却する方が賢明な選択となる可能性があります。そのため、経営者は選択と集中戦略のもとで戦略的撤退を行うために、会社売却を検討することになるでしょう。

売却理由⑤:「会社の発展」と「社員の将来」を考えて

複数の競合他社が存在する市場において、中小企業や個人事業主の規模は小さく、市場シェアや売上を大きく伸ばすことができないため、事業の将来性が見込めないということがよくあります。

このような場合、現実的に考えて、経営者は成長するための競争力を得るために、事業提携や合併などのかたちで会社に競争力をもたらす必要があります。つまり、今後競争力を高めることが難しいということです。もし、大企業の顧客基盤が利用できるようになれば、より大きな仕事ができるようになりますし、資金提供を受ければ、より事業を成長させることができるかもしれません。この場合、経営者は経営権を譲渡して会社を成長させようとするのです。もし、経営者が今後自身で会社を成長させるための戦略上の決断を下すだけの能力、活力が自分にはないと考える場合、最善の方法は、良い買い手を探し、会社を売却することです。つまり、会社の発展や社員の将来を考えて会社を売却することも、経営者は決断しなければならないケースがあるのです。

幸せな社員・会社

まとめ:社長が「会社売却」を真剣に考える理由

経営者であれば、普段の会社経営と同じくらい真剣に会社売却の戦略を立てておかなければなりません。ネガティブなイメージで捉えられがちな会社売却ですが、会社のために会社売却を決断しなければならないケースも多くあります。会社を存続させるために自ら身を引かなければならないケースもあるでしょう。会社売却をネガティブに捉えるのではなく、会社を存続させるための有効な手段として捉えておかなければなりません。

会社を売る場合の相場はどれくらい?企業価値評価算出の方法の解説はこちら

M&Aの基礎知識
2022/05/18
MBO(Management BuyOut)
MBO(Management BuyOut)

Management BuyOutの頭文字をとり、MBOといいます。MBOとは、現在の経営陣への自社・事業の売却のことをいいます。

経営陣が出資する形で、対象会社を買収します。現在の経営状況を知る経営陣がそのまま経営権を持つため、自社や業界に対する知識・理解が保たれた状態で事業が承継され、円滑に経営を引き継ぎやすいのが特徴です。

M&A・事業承継用語
2022/05/21
多角化経営の実現のために 〜事業多角化をする理由とM&Aの活用〜
多角化経営の実現のために 〜事業多角化をする理由とM&Aの活用〜

はじめに

企業の収益性を高め、事業リスクを軽減するために、経営の多角化を考える経営者のみなさまは少なくありません。経営の多角化を迅速に実現するためにはM&A(Mergers(合併)and Acquisitions(買収))の活用は欠かせません。この記事では、多角化経営の意義について説明したあと、多角化経営を迅速に実現するための手段としてのM&Aについて詳しく解説していきます。

多角化経営実現の意義

多角化経営とは、企業が提供する製品またはサービスを変更または拡大することによって成長を図る企業戦略のことを言います。一般に、企業は、競合他社に差をつけるために多角化戦略をとる場合があり、これは「攻めの多角化」と呼ばれています。一方、企業は、市場環境の大きなプレッシャーに直面した際に、「守りの多角化」に着手するケースもあります。

ビジネスが誕生してから時間経過する、または参入障壁の低いビジネスモデルなどが原因となり、市場シェアや利益を拡大することが難しくなる場合があります。新しい事業分野への多角化は、収入を大幅に増やす機会を与えるだけでなく、本業が一時的または長期的に急降下した場合に備えて、会社を守ることにつながります。

多角化とは、既存のビジネスを拡大することではありません。多角化の本質は、新たなビジネスチャンスを広げることにあります。たとえば、ある町でダイニング・レストランを経営している場合、隣町に2号店をオープンすることは、「経営の多角化」ではなく「事業の拡大」に過ぎません。企業向けにケータリングを始めたる、料理を提供していない時間帯に料理教室を開くといったことが多角化となります。

経営の多角化を検討する際には、関連する事業にとどまるのか、それとも全く別の市場に進出するのかを決めなければなりません。たとえば、ペットシッターがグルーミングサービスを提供するように、市場内にとどまることで、これまでの人脈やブランド、顧客基盤を活用することができるでしょう。

一方で、ペットシッターが造園業を始めるように、新しい市場に進出すれば、特定の業界の景気後退に対して、他の事業でカバーできるようになり経営としての安定性は高まるでしょう。関連する事業に進出する場合には、既存のリソースを活かすことで軌道に乗せやすくなる反面新しい取り組みが失敗した場合、ブランドが損なわれる可能性があります。他方、全く新しい分野でビジネスを始めると、ゼロからのスタートとなるため、既存事業への影響は少ないかもしれませんが、軌道に乗せるにはより多くの時間と資金が必要となる場合が多くなることに留意しなければなりません。

多角化経営を行う6つの理由

多角化経営を行う理由には、以下のようなものがあります。

(1)競争に打ち勝つ

市場における競争優位に立つための最良の方法は多角化です。たとえば、関連する事業へと製品・サービスのポートフォリオを拡大することによって、競合他社が提供できないものを提供できるようになります。

(2)利益を安定させる

経営の多角化が成功すれば、事業の成長、ひいては収益も大きく向上します。一般に、一つの事業が成長し続けられる保証はありません。様々な事業へと多角化し、一つの事業が他の事業を補完するという関係をつくることで会社の収益性を向上させることができます。

(3)事業リスクを回避する

企業経営において、限られた経営資源を有効活用するために、全体を俯瞰した上で、どこに経営資源を配分すればよいかを考えなければなりません。事業多角化は、景気後退などのリスクを回避するための積極的な手段となり得る戦略です。1つの事業に注力する場合、事業の根幹を揺るがす変化が起きると、会社もろとも倒れてしまう可能性があります。事業ごとに異なる製品やサービスを提供することで、業界の不況のダメージを軽減できます。経営の多角化によって事業領域を複数もつことで市場の変化にも対応できるようになるということです。事業を複数とすればするほど、経営者の視点から「事業ポートフォリオの最適化(事業の選択と集中による経営資源の最適配分)」を図らなければなりません。事業ポートフォリオの構築は、事業リスクを回避するための重要な手段です。

(4)ブランドイメージの向上

経営の多角化は、ブランドイメージを向上させる方法となり得えます。新たに買収したブランドとの結びつきを強めることで、ブランドイメージを向上させられるかもしれません。知名度のあるブランドを買収すれば、そのブランドイメージを自社に取り込める可能性があります。

(5)経営資源の最適化

事業の成長が鈍化し、環境変化によって将来性が見込まれなくなってしまった場合、経営者はその事業へ投資ができず、会社に余剰資金が発生することになるでしょう。そんなときに、事業を多角化していれば、ある事業の余剰資金を他の事業へ振り向けることができます。余剰キャッシュフローの活用、既存インフラの有効活用、企業レベルの意思決定の改善など、多角化は企業の資源を最適化する方法となり得るのです。

多角的

多角化経営とM&A

多角化経営を行う企業は、2以上の事業の経営資源を組み合わせることで会社の収益性を高めリスクを分散することもできます。中小企業が陥りがちな収益性に関する成長の鈍化と事業リスクへの直面を解決できるのが多角化経営なのです。

多角化経営の実現を目指す場合、既存事業がうまくいっていて、会社に余剰資金がある場合、その余剰資金を使って事業を多角化することもできるかもしれません。しかし、通常、新しい事業を軌道にのせるためには時間がかかります。

しかし、多角化経営を迅速に実現する手段が一つだけあります。それがM&Aの活用です。

たとえば、特定の地域に店舗・工場を建設しようとすれば、土地・建物の購入または賃借、改装等工事、従業員の雇用、取引先開拓など多くの時間とコストを投じなければなりません。しかし、M&Aを行うことで、自社で一から経営資源を投入して、事業を立ち上げずに済みます。買収対象の企業がすでに事業を展開しているため、その経営資源を利用すれば良いからです。さらに、買収を通じて、優秀な人材やノウハウなどを獲得できます。自社で人材育成を行ったり、ノウハウを積み上げたりする時間を短縮できるなど、多角化を迅速に実現するためには、M&Aが不可欠です。

事業を多角化する場合、既存事業と関連する事業に参入するケースと既存事業と関連しない事業へ参入するケースが考えられます。特に、既存事業と関連しない事業へ参入するケースでは、必要となる経営資源を準備するために時間もコストも必要となるケースが多いため、M&Aを活用してすでに事業を展開している会社を買収してくることで、買収企業の経営資源を有効に活用しながら、自社の経営資源と組み合わせることでシナジー効果を得られます。

おわりに

多角化経営を行えば、ビジネスを成長させ、リスクを軽減することができます。M&Aは多角化経営を迅速に実現するための有効な手段です。ただし、経営の多角化は、経営資源を各事業へと分散させることになるため、短期的にはコストの上昇が避けられません。こうした事実をきちんと理解したうえで、多角化経営の意義を考えることが重要です。

M&Aの基礎知識
2022/05/15
M&Aにおける機密保持契約の意義 〜機密情報保持契約書の作成ポイントを解説 〜
M&Aにおける機密保持契約の意義 〜機密情報保持契約書の作成ポイントを解説 〜

はじめに

M&A(合併・買収)では、しばしば機密情報や財務情報等、重要な契約書などについて相手企業と情報のやり取りをしなければならない場面が出てきます。M&Aでは実際にM&Aを行う前に機密保持契約を結んでから実際にM&Aの交渉を進めていくのが一般的です。なぜなら、機密情報や財務情報、重要な契約の漏えいは、M&A取引そのものはもちろん、お互いの企業に多大な影響を与える可能性があるからです。

情報が漏えいすることは、従業員の減少から取引相手からの信用の喪失に至るまで、企業の運営に大きな影響を与える可能性があります。M&Aにおいては、正式な契約締結後のリリースで一般に公表するまでは、全ての交渉過程が非公開で行われることが多いため、機密保持契約の締結は非常に重要な意味を持っているのです。この記事では、M&A取引を進めるにあたって必要不可欠な機密保持契約とその作成ポイントについてわかりやすく解説していきます。

機密情報保持契約の意義

M&Aの検討を開始する際に、売り手企業は会社の情報を買い手企業候補に開示して、買い手企業候補は売り手企業から対象会社の情報を入手することになります。開示される情報には売り手企業及び対象会社における機密情報が含まれているため、情報の開示・入手に先立って売り手企業・買い手企業の間において機密保持契約を締結しなければなりません。なぜなら、M&Aのプロセスで開示した自社の重要な製品情報やノウハウ、顧客情報など秘匿性の高い情報が漏えいする可能性があるからです。

他社に提供した機密情報の機密性を保護する一般的な方法として活用されているのが、「機密保持契約」です。機密情報保持契約は「NDA: Non-Disclosure Agreement」もしくは、「CA: Confidentiality Agreement」と呼ばれたります。

通常、機密保持契約は、M&Aの基本合意書の締結後、またはデューデリジェンスの開始前に締結されるものです。基本合意書の締結が終わると、譲受側(買い手)による譲渡側(売り手)のデューデリジェンス(買収査定)が行われるため、その前に行われるケースが多いのです。

機密保持契約書には、一般に、企業間取引を行う上で開示されうる機密情報の扱い方に関する取り決めや、万が一漏洩した場合の当事者の責任の内容が記入されます。NDAは、特に、どの情報を買い手候補に引き渡すか、また、その情報をどのように扱うかについて規定しています。さらに、買い手候補やそのアドバイザーが機密情報保持契約に違反した場合の法的影響についても規定されるのが普通です。

機密情報保持契約書の形式は、買い手候補が誰であるか(投資家、戦略的パートナー候補、競合他社など)によっても異なります。さらに、買い手候補が、企業買収に関する状況や交渉状況などの機密情報を含むため、機密保持契約の締結に関心を持つ場合もあります。このような場合、相互の機密保持が必要となります。

[caption id="attachment_3081" align="alignnone" width="640"]NDA NDA[/caption]

機密保持契約書作成のポイント

機密保持契約書を作成する場合には、以下のポイントに注意しましょう。

(1)機密保持契約は一方的なものか、相互的なものか

M&A取引において、機密保持契約を作成する際にまず考慮すべきポイントは、契約によって一方の当事者にのみ情報保護の権利を与えるのか、それとも相互に権利を与えるのか、ということです。たとえば、小規模の企業が大手の上場企業に資産を売却して現金を得ようとするような、一方の当事者のみが相手方に機密情報を開示する取引では、売り手の情報のみを保護する機密保持契約(「一方的」機密保持契約と呼ばれることがあります)を締結するのが一般的です。その他の取引では、例えば、各当事者がそれぞれの事業や資産に関して相手方に開示する場合、相互の機密保持契約が必要な場合があります。

(2)機密保持契約の重要な要素を明記する

機密保持契約の核となるのは守秘義務であり、売り手の事前の同意なく機密情報を第三者に開示してはならないことが明記されるのが普通です。情報の受領者に対して、機密情報を機密にすることと、機密情報そのものをM&A取引の評価・交渉以外の目的に使用しないことの2つの義務を課すことが必要です。提供された情報は機密として扱われ、限られたグループのみに伝えられ、デューデリジェンスと取引の更なる実行の目的のみに使用されます。

守秘義務は通常、受領者が他者にアクセスさせないための合理的な措置を講じなければならないことを課すものです。たとえば、合理的な措置とは、受領者の社内の数人のみがその情報にアクセスでき、その全員が機密保持の制限の内容を知らされることなどが考えられます。

機密保持契約書面は長くて複雑である必要はありません。機密保持契約の重要な要素は以下のとおりです。

  • 当事者の特定
  • 何が機密とみなされるかの定義
  • 受領側当事者の守秘義務の範囲
  • 機密扱いの除外
  • 開示側からの要求があった場合の機密情報の返却・破棄義務
  • 契約の期間
  • 契約の当事者

(3)機密情報の範囲を十分に検討する

通常、機密保持契約では何が機密情報に該当するのかを定義しなければなりません。定義されていない内容が漏えいしても、相手方に責任をとるように要求することはできません。

それでは、機密保持契約書面において機密と定義された情報のうち、書面の情報のみが機密として扱われるでしょうか。口頭で伝えられた情報は機密とみなされるのでしょうか。

情報を開示する側は、相手側が抜け道を見つけて貴重な機密を使い始めることがないように、この機密情報の定義をできるだけ広くしたいと考えるでしょう。

一方、情報を受ける側は、機密にしておくべき情報を明確に識別できるようにし、何が使えて何が使えないかを知っておきたいという欲求を持っているのが普通です。情報の受ける側によっては、書面で伝達された情報のみを機密にしておく必要があると主張する人もいます。もちろん、情報を提供する側は、そのような定義では狭すぎるというのが普通です。妥協案として、口頭の情報も機密情報とみなすことができるが、情報を提供する当事者は、開示後すぐに相手側に書面で確認し、どのような口頭の発言が機密とみなされるかについて、情報を受け取る当事者に対して通知しなければならない、とする場合などがあります。

さらに、M&Aの買い手側が「役員、従業員、弁護士、M&Aアドバイザーなどに、取引を検討する上で必要な限度で情報開示を行う」としてきた場合は、これらの者にも同等の機密保持義務等を課すようにし、また、これらの者による開示や漏洩については買い手に責任を負わせる旨を負わせるような条項が売り手には必要かもしれません。ほかにも、デューデリジェンスが完了、M&A取引が完了、もしくは機密保持契約の有効期間が終わった場合、売り手側が請求した場合には、開示した書面その他の物理的資料の返還および破棄、電子データの削除を義務づける条項を加えるべきであるかもしれません。

このように、何を機密として定義するのかは難しい問題です。M&A取引の当事者が変われば、定義すべき機密情報も変わってくるでしょう。

M&Aにおける機密保持契約の意義

M&A取引当事者の利益のために、NDAは、重要な情報が共有される前の早い段階で締結されるべきです。取引の種類や範囲、関係者、開示される情報の性質は、NDAの文言に大きな影響を与えるため、個々のケースに合わせて契約書を作成しなければなりません。

 

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M&Aの基礎知識
2022/05/15