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オリジネーション(Origination)
オリジネーション(Origination)

オリジネーション

オリジネーションとは、M&A案件を新規に発掘する業務領域です。M&Aプロセスの中で初期の活動であり売手と買手のマッチングやクライアントへの提案などを行います。ソーシングと呼ばれることもあります。

M&Aにおけるオリジネーション(ソーシング)の意義・戦略・成功させるポイントはこちら


M&A・事業承継用語
2022/07/31
会社を売る場合の相場はどれくらい?企業価値評価算出の方法を解説
会社を売る場合の相場はどれくらい?企業価値評価算出の方法を解説

会社を売る場合の相場はどれくらい?

 M&Aで会社を譲渡する場合、自分の会社はどのくらいの価値があり、金額としてはいくらで評価してもらえるのでしょうか。逆に、M&Aの話が持ち込まれた際に、買い手として、どのくらいの金額を提示すればよいのでしょうか。M&Aを行う場合、売り手はできるだけ高く売りたい(評価してほしい)、買い手はできるだけ安く買いたい(投資額を抑えたい)と考えるのが通常だと思います。

 企業の価値が一体どのようにして決まるのかがわかれば、会社を売る場合の相場感もわかるはずです。そこでこの記事では企業価値評価の方法についてその概要を説明していきます。

会社を売る場合の相場を計算するには、企業価値評価算出

図表1: 企業価値評価の方法とその特徴

アプローチ

 (出所: 公認会計士協会(2013)「企業価値評価ガイドライン」

 

 企業価値を評価する手法は様々なものがありますが、一般的な評価方法にはその企業

の何に着目するかによって、インカム・アプローチ、マーケット・アプローチ、コスト・アプローチの 3 つに区分されます。ただし、企業評価の方法には幾つかの考え方があるものの、絶対的な評価方法というものは存在しません。絶対的に正しい評価方法があるわけではないので、評価対象となる企業の特性に合わせて評価方法を選択するのが大切です。上記、図1は、企業評価の方法とその特徴を示したものです。ここからは、それぞれの企業かつ評価の方法について詳しく説明していきます。

インカムアプローチ(企業の収益力に着目した評価方法)

 インカム・アプローチは、企業から期待される利益やキャッシュ・フローに基づいて企業価値を評価する方法です。具体的には、「DCF法(割引キャッシュフロー法)」や「収益還元法」などがあげられます。インカム・アプローチは評価対象会社が将来獲得すると期待される利益やキャッシュ・フローなど収益力をベースに評価する方法なので、将来の収益獲得能力を企業価値に反映させやすく、また、その企業独自の収益性などを基に評価するため、企業が持つ固有の価値を企業評価に示すことが可能です。

 譲受企業にとっての投資判断という意味では最も理論的な評価方法である一方、将来の利益やキャッシュ・フローを見積もる事業計画等の作成に対する恣意性の排除が難しいことも多く、企業価値評価の客観性が問題となるケースもあります。

マーケットアプローチ(株式市場における株価に着目した評価方法)

 マーケット・アプローチは、上場している同業他社や、類似する会社や事業の取引事例などと比較することによって相対的に企業価値を評価する方法です。マーケット・アプローチでは、評価方法に実際の株価の計算要素を盛り込みます。株価は、企業や業種が持つプラス要素、マイナス要素が十分吟味されたうえで、「買い手」と「売り手」の間で実際に取引が行われ、決定されています。そうした特性を持つ株価を計算要素に使って企業価値評価を行うことから、より具体性を持った評価方法ということができます。

このタイプには「類似企業比較法(類似企業株価指標倍率法)」や「類似業種比較法(類似業種比準価額法)」などがあります。

 市場で取引されている株式との相対的な評価アプローチであるためある程度客観性には優れていると言えます。マーケット・アプローチは第三者間や市場で取引されている株式との相対的な評価アプローチであるため、市場での取引環境などが反映されています。一方で他の企業とは異なる成長ステージにあるようなケースや、そもそも類似する上場会社が無いようなケースでは評価が困難で、評価対象となっている会社固有の性質を反映させられないケースがあるのも事実です。

 中小企業の大半は規模や業態などの類似する上場企業が無い場合も多く、中小企業の M&A においてこの評価方法を採用すると、実態に即した企業評価が困難な場合も少なくありません。類似した商品・製品を取り扱っていても、事業のコンセプトやビジネスモデルが全く異なる場合にも、旧来の企業とは収益性やリスクが異なることが考えられ、マーケット・アプローチを適用することによって誤った評価になる可能性がある点に留意すべきです。

コストアプローチ(企業の純資産に着目した評価方法)

 会社の貸借対照表上の純資産に着目して企業価値を評価する方法です。評価対象の企業が保有している資産を再構築すると仮定し、それに要するコストに観点を置いた方法で、保有している資産をベースに算出する方法となっています。

 帳簿上の純資産を基礎として評価をするため、帳簿作成が適正であれば、シンプルで客観性に優れているといえます。他方で、一定時点の純資産に基づいた評価方法のため、その企業の持つ将来の収益性を加味したり、景気や市場の取引環境を反映することは難しいと言われています。このタイプには「簿価純資産法」や「時価純資産法」などがあります。

 コストアプローチは、企業の存続を前提としていないため、企業を清算するとき(解散するとき)の価値である「清算価値」と言われることが多々あります。資産価値は、基本的に将来のことや今後の価格変動が反映されているわけではありません。また資産にいくら含み益があったとしても、その資産を売却しない限り、その含み益を実際に「現金」として手にすることはできません。会社がその含み益を「利益」として享受することはできないのであれば、事業継続が前提の会社の企業価値を考える上で、この含み益を価値として評価することに意味があるとはいえません。このため、「コストアプローチ」は資産をすべて売却して現金化するような局面、すなわち企業の”清算”の場面によく使用されます。

企業価値算定各アプローチのメリット・デメリットについて詳しくはこちら

中小企業等の M&A で採用される評価方法

 中小企業等の M&A における企業価値評価では、多くの場合、上記③のコストアプローチによる評価方法が基準となっています。また、その中でも企業の貸借対照表に表示

されている資産負債をそれぞれ時価に評価し直し、それらの合計額の差額を企業価値として評価する「時価純資産法」が採用されています。その理由は、評価の時点における企業の正味財産価値を客観的に求めることができることから、誰が行ってもある程度同じような評価結果を得ることができ、企業価値の評価に恣意性の入る余地が小さいことがあげられます。

 しかし、この評価方法では、前述の通り、一定時点の純資産に基づいた価値にすぎず、将来の収益性や景気、市場の環境変化等が企業価値に反映されていません。そこで、時価純資産法の評価額に M&A 後における収益力や予想される事業シナジーを考慮した「営業権」を加算することによって、継続企業としての企業価値評価を実現しています。

時価純資産法による評価額 + 営業権の評価額

 すでに説明したように、非上場である中小企業M&Aにおける企業価値には絶対的かつ客観的な価値は存在しません。あくまでも、最終的な取引価格は、外部環境や業界動向、M&A マーケットにおける需給状況、会社内の潜在的なリスク等を総合的に勘案して、当事者間の価格交渉によって決まります。特定の場面では特定の評価アプローチを必ず採用すべきであるとは言い難く、採用すべき評価アプローチはもちろん、それぞれのアプローチの中で具体的にどういった評価法を用いるべきか、どのような前提条件をおくべきかといったことは、個々の場面によって変わるものと考えるべきです。

 中小企業のM&Aでは、企業価値を決めるのによく使われる計算式があり、ある程度の合理的な相場感、目安というものがありますが、上記の計算式と相場感を知っておき、その合理的なレンジの中で価格が決まるようになれば、割高に会社を買ってしまったり、割安に買いたたかれてしまうケースを減らすことが可能です。

おわりに

 会社を売る場合の相場感は、企業価値評価でよく用いられている計算式を使って計算することが可能です。どの評価方法にせよ、絶対的な価値を示しているわけではないことに注意が必要です。企業の価値は様々な要因によって決まります。上記で紹介した3つの方法はあくまでも企業価値を推定しているに過ぎないものです。まずは、インカムアプローチ・マーケットアプローチ・コストアプローチの概念を理解しておけば、相場よりも安い価格で会社を売ったり、相場よりも割高の価格で会社を買ったりせずに済むでしょう。厳密な計算は、実際にM&Aをしなければならなくなった際には、仲介企業や専門家に依頼して正確に行ってもらいましょう。

専門家への依頼なら一括お問い合わせのM&Aガイドへお気軽にご相談ください。

 

M&Aの基礎知識
2022/07/30
エグゼキューション(Execution)
エグゼキューション(Execution)

エグゼキューション(Execution)

エグゼキューションとは、M&Aにおいて買収条件の決定、最終契約書の締結及び決済までの過程で一連の手続き等を実行・管理するフェーズ。オリジネーションの次の段階を指します。

売り手と買い手がM&Aに合意してから、成約するまでの過程で必要な業務を行います。会計・税務など専門的な業務のためサポートを受けながら進めることが一般的です。

具体的には、買収スキームのストラクチャー構築、契約書や秘密保持契約書などの文書作成、企業価値算定(バリュエーション)業務、デューデリジェンス業務などがあります。

参考:M&Aにおけるエグゼキュージョンとは何か?重要ポイント

M&A・事業承継用語
2022/09/26
後継者がいないときにはどうする?事業承継・後継ぎの現状と課題
後継者がいないときにはどうする?事業承継・後継ぎの現状と課題

後継ぎ不在の現状

国内の中小企業経営者は高齢化し、事業を後継者に引き継ぐ事業承継問題は喫緊の課題となっています。しかし、後継者がいないため、事業を承継することができず、廃業に至る企業も少なくありません。廃業となれば、その会社の保有する資産などはもちろん、技術や無形の資産なども失われることになりますし、取引先関係も失われ、雇用も失われることになります。したがって、事業を承継するという問題は、日本経済全体にとっても重要な問題なのです。

 実際に、中小企業において事業承継の取組みを進めていく場合には、自社の業績や財務状況、さらには経営者及び後継者の経営権や個人資産などを考慮に入れたうえで後継者を選ばなければなりません。そして、考慮すべきポイント、対応策については誰に事業を引き継いでもらうかによって異なる部分があるので、その違いを理解しておくのが重要です。

この記事では、後継者として自分の子どもや身内を選ぶ親族内承継ができない場合によく用いられる事業承継手法である、親族外承継の現状と課題についてわかりやすく解説していきます。

事業承継を行う上での課題意識

(出所: 帝国データバンク「 事業承継に関する企業の意識調査(2020 年)」)

 帝国データバンクが2020年に行った調査によると、会社の事業を後任に承継する際に実際に苦労したこと、苦労しそうなことのトップに、後継者問題が挙げられています。事業承継を行う上で苦労したことでは「後継者の育成」が 48.3%で最も高くなっており、また、苦労しそうなことに関しても「後継者の育成」(55.4%)、「後継者の決定」(44.6%)が上位となり、総じて後継者問題に関する懸念が上位に挙げられているのがわかります。

 実際に現経営者が、後継者として誰を任命するかはとても難しい問題です。中小企業が後継者の候補を検討する場合、第一の候補として考えるのは、やはり経営者自身の子ども(親族内)となるケースが多いでしょう。特に、小規模の企業では、家業という性格があるため、子どもが後継者になっている割合が高くなることは、自然なことかもしれません。

 しかし、後継者を決める際には、経営者として資質のある人を後継者に選ぶことが重要です。自分の子どもであっても、資質がなければ、結局のところ事業が長く継続することはできません。

 親族内に相応しい人物がいれば、親族内承継をすることもできますが、そう簡単に相応しい人物がいないのが現状です。その場合、親族外に後継者を探さなければなりません。親族外から後継者を探すとなると、前任である中小企業・小規模事業者に多いオーナー経営者の負担は、非常に大きいと考えられます。ただ、準備不足のままに、突然の事業承継を迎えれば、新たな経営者が多難な事業運営を迫られることはもちろん、廃業に追い込まれることもあり得ます。経営者は、事業承継の準備を先送りせずに、社内外の関係者や専門家、公的機関等の助力も得ながら、取り組んでいくことが求められます。

後継者がいない場合の事業承継

 もう一つ調査を確認してみましょう。本調査は、中小企業庁が野村総合研究所に委託して行われた、「組織形態別の後継者を決定する際に重視する項目は何か」についての調査です。

 (出所:中小企業庁委託「中小企業の事業承継に関するアンケート調査(2012)」

 この項目のなかで、後継者を決定する際に重視することを見てみると、個人形態の事業者は、「親族であること」と回答する割合が約7割であり、今後の事業承継に関しても、経営者との血縁関係を非常に重視していることが見て取れます。

また、中規模企業と小規模事業者ごとに、後継者決定の際に重視するポイントを見ると、小規模事業者では、「親族であること」が高いのに対し、中規模企業では「リーダーシップが優れていること」が高くなっています。

信頼できる親族に事業を託すという事業承継に加え、従業員や第三者といった親族外の優れた人物に事業承継をするのも、事業承継の一つの選択肢と言えるでしょう。したがって、親族に後継者がいないケースであっても事業承継を諦める必要はありません。親族外に事業を承継すれば良いのです。

親族外承継は、自社の従業員、取締役への承継が行われる場合と自社の外部から新たな経営者を招き入れて行われる場合の2つがあります。この親族外承継は、経営者の親族内で適切な後継者がいない場合に、自社のことをよく知った従業員、取締役や、あるいは、外部の信頼できる人物を招き入れて承継させる方法です。

 親族外への事業承継を行う場合、現経営者から後継の経営者に対し、会社の代表権と株式の双方を同時に承継する形式が取られることが多いです。ただし親族外承継の場合、事業の承継時に経営権だけを後継者に初めに継承し、前経営者は後継者の経営実績を認めた後に株式の継承を行うケースもあります。

親族外の事業承継に際して生じやすい具体的な問題としては、借入金の個人保証や資産・負債の引継ぎに関する問題です。中小企業においては、借入金の個人保証の引継ぎと後継者による自社株式の買取りが大企業と比較して、大きな問題となりやすいので注意が必要です。

具体的な事業承継の準備についてはこちらもご参考にご覧ください。

後継者準備の時間が必要

 中小企業にとって事業承継は喫緊の課題といわれるなかで、近年は、社内の役員や従業員を経営者に昇格させたり、社外から経営者を招いたりする親族外承継を選択する企業が増えてきています。親族外承継は決して珍しいものではなくなっているのです。

 一度親族外承継を経験した企業では、承継形態の選択肢が広がったり、計画的な後継者育成が行われるようになったりと、次なる承継に向けた準備が進みやすくなります。後継者がいないことを危機として捉えるのではなく、親族外への事業承継をきっかけとして強い企業をつくるという意味で、親族外承継に取り組んでいくメリットは、特に中小企業にとっては大きな意味を持つでしょう。事業承継には後継者教育や財産関係の処理、株式の異動等の様々な準備が不可欠であり、M&Aではマッチングする企業がすぐに現れるとは限りません。

近年では、中小企業庁が事業承継問題を重要な課題として認識しており、事業の承継に向けた様々な支援策を打ち出しています。専門家の助言を受けながら、事業承継に向けて、数年単位で準備を進めていくことが必要となることを忘れてはなりません。

M&Aの基礎知識
2022/07/30
事業承継時の関係者への通知はどうしたら良い?
事業承継時の関係者への通知はどうしたら良い?

事業の承継は、その会社の経営や事業活動に大きな影響を与えます。特に、中小企業の多くは取引先もそれほど多くなく、もともとの経営者と懇意の関係であるケースも少なくありません。そんな会社で事業の承継が行われた場合、きちんと事業の承継があったことを取引先にも知らせる必要があります。事業承継時のお知らせは当然のビジネスマナーと説明することもできますが、事業承継時のお知らせは単なるマナーというよりも、事業をスムーズにバトンタッチするために特に重要なものであると理解しなければなりません。この記事では、事業承継時に取引先などにどのようなお知らせをするべきなのかについて詳しく解説していきます。

事業承継のお知らせはしなければならない?

 事業承継を行った際に、取引先を現経営者から後任の経営者にスムーズに引き継ぐことができるかどうかは事業を継続するうえで重要なポイントです。特に、中小企業の事業承継では、現経営者との信頼関係のなかで取引を継続しているというケースも少なくありません。最悪のケースでは、事業承継で経営者が変わってしまうことで取引が停止となることもあります。このため重要な事業承継を行う際には、取引先には、事業承継の契約締結前や契約締結後に、すぐに現経営者が説明に行くケースが多いです。

 また、中小企業では、会社を譲渡した経営者が代表権のない会長や顧問に就任するようなケースもあります。たとえば、1年間というように一定期間、会社に残って経営に関与する条件で、後継者の指導にあたるというようなケースです。この場合には、会長に就任している間に取引先への告知、新社長への引き継ぎなどを、一定の時間をかけながら行うことができます。

 このように、事業承継を行った場合には、取引先に必ず告知する必要があります。もちろん取引先への告知のタイミングや方法等には細心の注意を払い、トラブル等を避けなければなりません。多くのケースにおいて、主要取引先へは、オーナー自ら直接挨拶に伺い、それ以外への取引先へは社長交代に合わせて書面(挨拶状など)でお知らせします。場合によっては、特に重要な大口取引先に対して、最終契約前に内諾を得ておくことが望ましいケースもあるので注意しましょう。

事業承継をお知らせする文章は?

 事業承継が無事完了すると、取引先に限らず、さまざまな関係者に対してお知らせや通知、案内などを出すのが普通です。お知らせや通知は、法的に義務付けられているわけではありませんが、多くの企業で必ずと言って良いほどお知らせや通知を出しています。その理由は、事業の引き継ぎに欠かせないものだからです。

 事業承継の際のお知らせには、以下の要点が記載されます。

  • 承継の目的は何か
  • 誰に経営権が移ったのか
  • 事業承継によって取引関係に変更はあるのかどうか
  • 事業承継に関する連絡先はどこか
  • 事業承継の日時はいつか

もちろん、お知らせや通知などには決まったフォームなどはありません。ビジネス文章という側面もあるので、気候の挨拶なども記載されるのが普通です。

挨拶状

おわりに

 事業承継後に関係者や得意先との取引をスムーズにおこなうためには、事業承継のお知らせや告知などは欠かせません。事業承継は事業承継を行った当の企業にとって重要なことであり、今後の事業活動の重要な転機となりうる出来事です。それゆえに、事業承継のタイミングというのは、混乱が生じやすいタイミングでもあります。そのタイミングで、取引先との関係にも混乱が生じれば、今後の事業の継続も覚束なくなってしまいます。そのため、事業承継後も安定して取引を続けていくために、お知らせを出すのです。

 事業承継時のお知らせはビジネスマナーとして当然のものであるかも知れません。しかし、単なるマナーという以上に、事業を継続するうえで極めて重要な意味を持っています。企業にとって取引先との関係は極めて重要です。そんな取引先との関係性を良好にし、取引関係をスムーズにするためにも、お知らせや通知が必要なのです。

 

M&Aの基礎知識
2022/07/30
M&Aにおける簿外債務と偶発債務について~貸借対照表に計上されてない負債~
M&Aにおける簿外債務と偶発債務について~貸借対照表に計上されてない負債~

簿外債務とは、文字通り、貸借対照表に計上されていない負債のことを言います。M&Aを目指して交渉を行っている際に簿外債務が存在していることが確認されると、最悪の場合、M&Aが白紙となるほど簿外債務は取引に重要な影響を与えます。この記事では、簿外債務について詳しく解説し、偶発債務との違いも合わせて説明していきます。

M&Aにおける簿外債務

 「簿外債務」(簿外負債)とは、会計帳簿に記載する必要がないため貸借対照表に計上されていない債務のことをいいます。その属性として、計上すべきものが貸借対照表に計上されていない負債と、潜在的な債務があってまだ金額は確定していないため貸借対照表上に計上されていない負債があります。特に後者を指して後者は偶発債務と言います。

 「偶発債務」は、偶発的に発生する債務のことを言い、発生する可能性が低い、あるいは現時点では金額が確定できない負債を言います。たとえば、裁判係争中の問題があるものの、裁判に負けて損害賠償をしなければならない可能性があるものが、偶発債務の典型的なケースです。

一方、簿外債務は、すでに負債が発生する原因が生じているものの、会計帳簿に記載する必要がないため負債として計上されていない債務のことを言います。たとえば、典型的な例が引当金です。会計監査を受けない中小企業の場合は、未払賞与や退職給付債務、貸倒引当金等を貸借対照表に計上しないケースや、法人税法上の繰入限度額までしか計上していないことがあります。貸倒引当金は、自社が保有する債権額から貸倒れが発生する可能性を見積もって貸借対照表に計上します。しかし、税務上、貸倒引当金を貸借対照表に計上できる金額は決まっています。つまり、会計上は計上する必要があっても、税務上計上する必要がないことから、貸借対照表上に貸倒引当金が低く計上されているケースがあるのです。

 会計上、意図的に債務を隠す行為は粉飾となりますが、重要性の原則のもとで重要性が低い(会計情報の利用者の意思決定に影響を与えない)と判断したものについては財務諸表に計上する必要はなく、これは粉飾にはなりません。したがって、基本的に、簿外債務とは、重要性の原則のもとで重要性が低いと判断されたもので貸借対照表に計上されていないものを意味するのであって、負債として貸借対照表に計上しなければならないものを意図的に隠すこととは異なります。

 M&Aのデューデリジェンスによって簿外債務の存在が明らかとなった場合、過少に見積もられていた貸倒引当金を適正な金額に修正しなければなりません。M&A成立後に発覚した場合は企業価値の低下につながるため、買い手側はデューデリジェンス(買収監査)の段階で簿外債務・偶発債務を見つける必要があります。

 M&Aを行う際に、簿外債務となりやすい注意すべき項目としては以下のようなものがあります。

  1. 賞与引当金
  2. 退職給付引当金
  3. 回収見込みの少ない売掛金
  4. 買掛金や残業代未払い金の計上漏れ
  5. 社会保険の未加入

M&Aにおける偶発債務

 「偶発債務」とは、現時点では発生していない債務ですが、将来一定の条件を満たした場合に債務になる可能性のある債務の総称です。偶発的に発生するため、その負債総額を正確には予測できないという特徴があります。

 具体例としては、債務保証や係争中の損害賠償債務、先物売買契約、手形割引、裏書譲渡などが挙げられます。M&Aを行う際に偶発債務となりやすい注意すべき項目として、以下のようなものがあります。

  1. 他社・他人の保証人・連帯保証人となっている
  2. 損害賠償請求が発生し得る訴訟リスク
  3. 金融商品の含み損
  4. 債務保証損失引当金

 例えば、他社の債務を保証するケースを考えてみましょう。保証債務とは、債務者がその債務を履行しない場合に、これにかわってその責任を負う保証人の債務のことを言います。借金による債務などの履行を担保する手段の一つとして保証があります。保証は債務の履行を確実にさせるもので、普通の保証の場合には、債務者によって履行がなされないときに初めて保証人の責任が生じます。債務保証の時点では、債務となる可能性は低いと判断されるので、債務として貸借対照表に計上されません。しかし、保証しなければならない旨は貸借対照表に注記して情報提供を行なわなければなりません。保証債務の発生の可能性が高まった場合は、保証債務引当金として貸借対照表等に計上し、債務となることが確定した時点で未払金として負債に計上されます。

簿外/偶発債務

貸借対照表に計上されてない負債には「簿外債務」と「偶発債務」がある

 貸借対照表に計上されてない負債には「簿外債務」と「偶発債務」があります。簿外債務と偶発債務では、貸借対照表に計上されていない理由が異なりますのでしっかりと区別しなければなりません。さらに、簿外債務には悪意を持って計上していない債務と重要性に基づいて計上していない債務の2つがあります。前者は粉飾であるので違法となりますが、後者は会計のルールに基づいたものであるので合法であるという違いがあります。M&Aという文脈において特に問題となりやすいのが、簿外債務の中でも後者のケースです。M&Aが実際に行われる前段階で行われるデューデリジェンスにおいて、簿外債務の存在が確認されると、取引に重大な影響を与えるので注意しましょう。

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M&Aの基礎知識
2022/07/30
企業の提携手法(業務提携・資本提携・業務資本提携)メリット・デメリットについて解説
企業の提携手法(業務提携・資本提携・業務資本提携)メリット・デメリットについて解説

事業活動において、企業の自助努力だけで事業規模の拡大を目指すのは困難になることがあります。ひとつの企業で持つ経営資源(人・モノ・金)は限られているからです。このようなときに選択肢のひとつとして利用するのは、他の企業と提携関係(alliance)を構築するという手法です。提携関係は支配関係を築くことではなく、協力関係を築くことを意味します。提携した企業同士は、資金や技術、人材などの経営資源を提供しあうことで競争力を確保します。提携を行う目的はさまざまであるものの、新規事業への進出や販売力・技術力の強化などが主な目的です。この記事では、様々な提携手法について解説していきます。

業務提携・資本提携・業務資本提携

株式会社が他の会社と提携する代表的な方法は3つに分類することができます。

業務提携

 まず、業務についての提携関係です。

業務についての提携は「業務提携」と呼ばれます。業務提携とは、2つ以上の会社が協同して業務を行うことで、他社の技術やノウハウを導入し、お互いの業務を効率化して付加価値を高めることを目的に行われる提携のことを言います。業務提携は、あくまでも業務に関する提携なのでお互い資本関係はありません。つまり、経営権への関与は基本的にないということです。業務提携はあくまでも契約ベースの提携のため、契約を破棄することで提携関係を解除できます。3年から5年間という短期間の提携関係を築くケースで多くみられます。

資本提携

 2つ目が資本についての提携関係です。資本についての提携は「資本提携」と呼ばれます。株式会社にとって、資本とはその会社が活動するために必要な元手となるものです。資本提携は、ある企業が他方、あるいは他の企業の株式を取得することを言います。資本提携では、お互いの株式をそれぞれ取得することもあります。そのため、資本提携とは、他方の会社の活動の元手を提供することにほかなりません。

したがって、業務についてのみ提携する業務提携よりも、資本提携の方が資本面も含むより強固な関係があると言えます。資本提携では、パートナー企業による経営への参画、財務面での支援などが期待できるのです。資本を受け入れる企業は、これにより、販路の開拓や製品・商品の共同開発など、経営資源を拡充でき、資本を提供する企業には、対象会社の業績が上がれば、取得した株式の価値の上昇が期待できます。出資を受け入れて株主になってもらうので、出資比率に応じて経営権へ関与されることもあります。少ない出資比率であっても、経営への影響がある点には留意しなければなりません。資本提携は一定程度の長期間にわたる提携関係を築きたいケースで用いられることが多い提携関係です。

資本業務提携

 3つ目が業務も資本も提携する関係です。業務と資本の提携は資本業務提携と呼ばれます。提携関係を築きたいと考える場合、基本的にはこの資本業務提携が行われます。資本業務提携は、他の提携手法と比べて最も強固な提携関係を築くことができる手法です。

企業提携

提携のメリットとデメリット

メリット1:  財務体質が強化される

 提携関係を築くことで、より多くの資本と新たな投資家にアクセスでき、また会社が資金を調達する際にも有利な立場に立てます。ビジネス上の経費をパートナーと共有することで、自社のみで行うよりもより多くの経費を節約することができます。スキルやノウハウを共有できることは提携関係を築くときの重要なメリットです。

メリット2: より広範なネットワークを構築できる

 相手企業と人脈やコネクションを共有することで、新しい人間関係を構築し、プロフェッショナルなネットワークを広げることができます。

メリット3: 新たな視点の獲得

 相手企業と提携すれば物事を別の角度から見ることができ、ビジネスに新しい視点を取り入れることができます。相手企業は自社のビジネスを成長させるために、斬新なアイデアや市場戦略、インスピレーションを提供してくれます。

デメリット1: 責任範囲の変更

 提携関係を築く場合の最大の欠点は、相手企業と損失、負債、リスクを共有し、ビジネスの財政的な義務に対して責任を負わなければならないということです。ただし、業務提携の場合にはこれは該当しません。

デメリット2: 権限の喪失

 すべてを自社判断で行うことができなくなります。相手企業と意思決定を共有し、合意できない場合は妥協する必要があるかもしれません。

デメリット3: 対立の可能性

 ビジネス上の意思決定では、必ずしもいつも同じ方向を見て進めていけるわけではなく、時には賛同できない意見が出てくることもあるでしょう。相手企業と方針が合わないケースとなり対立する可能性もあります。

M&Aと提携の違い

 M&Aでは法律上支配関係を築くことになりますが、各種提携においては、支配関係ではなく、協力関係を築くことになります。法律上の支配関係とは、その会社の発行済株式総数の50%以上を保有している状態を言います。したがって、M&Aとよばれる場合はその会社の発行済株式総数の50%以上を保有するケースが通例です。一方、業務提携は契約ベースで関係を築くことができ、資本提携では発行済株式総数の50%以下を保有することになります。提携関係はあくまでも協力関係であるという理解が重要なポイントです。

企業提携を含めたM&Aをお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。
ティールバンク株式会社のM&A戦略・アライアンス戦略の構築等に係るサービスはこちら

M&Aの基礎知識
2022/07/30
北信越の事業承継、新潟の酒蔵で広がる「後継は非同族」
北信越の事業承継、新潟の酒蔵で広がる「後継は非同族」

北信越5県の2021年の後継者不在率を11年と比べたところ、新潟・福井・長野が改善(低下)した一方、石川・富山は悪化(上昇)した。4年連続で不在率が改善した新潟では、日本酒業界を中心に後継者難から非同族への承継が広がる。また、各地域では事業承継を支援する組織を設立し、技術や伝統を次代につなげて、地域再生に生かそうとしている。日本三大夜桜の地としても知られる高田城址公園(新潟県上越市)からも近い

M&Aニュース
2022/03/05