レーマン方式とは、M&A仲介会社やM&A専門家などに成功報酬として支払う際の一般的な計算方法の1つ。取引金額(移動した資産の価格など)に対して一定の割合を乗じて算出します。
レーマン方式では、一般的にM&Aによる買収金額が大きくなればなるほど、報酬率は低くなるのが特徴となっており、以下が基準となります。
同じレーマン方式であっても、M&A仲介会社によってレーマン方式の対象資産が異なる場合があるため、注意が必要です。
詳細の解説はこちら:レーマン方式とは?~M&Aにおける報酬はどのように決まる?~
ロングリストとは、M&Aを検討している企業に対して、相手方となる株式譲渡における買収候補・売却候補先を集めた企業リストです。ロングリストには、売り手側の希望に沿った一定の基準を満たした企業、もしくはM&A支援会社が想定した買収・売却候補などが記載されます。M&Aによって相応のシナジー効果が想定されるかなどを基準にリストアップします。一般的に、ロングリスト作成時には基準条件を緩めに設定し、約50社~100社ほど候補先として選定し、幅広くリストに入れることが一般的です。ロングリストの作成で対象企業の大まかな選定プロセスを行ったのち、株式譲渡企業、M&A支援会社にてディスカッションを行いさらに候補先絞り込んでいきます。この一定の条件で候補先を絞ったものをショートリストといいます。決定後は、全体を俯瞰しながら優先順位をつけ、打診や交渉を開始していくこととなります。
経営資源には大きくヒト・モノ・カネ3つに分かれます。
人的承継とは、事業承継の際に従業員や顧客、経営のノウハウなどの「ヒト」資産を、後継者に引き継ぐことです。 一方で、不動産や株式などの「モノ」「カネ」資産を引き継ぐことを物的承継と呼びます。
EBITDA(金利・税金・減価償却費控除前利益)とは、Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortizationの略で、企業の営業成績を評価するために用いられる指標です。
EBITDAは、企業の所有者である株主が、キャッシュフローを生み出す能力を理解し、企業の営業成績を判断するのに役立ちます。EBITDAは、企業の財務の健全性とキャッシュフローを生み出す能力を測定する指標です。
この記事では、EBITDAがなぜM&Aで利用されるのかを含め、EBITDAの基礎について解説していきます。
EBITDAは、もともとケーブル・メディア大手テレコム社の元社長兼CEOであるジョン・C・マローン氏が1970年代に開発した経営分析指標です。企業の長期的な収益性を予測し、将来の資金調達に対する返済能力を評価するために開発されました。
EBITDAは、異なる企業間や業界間の貴重な比較材料にもなります。事業を売却したり、新たな投資家を募る場合、EBITDAを計算することで、会社の財務の健全性を確認したり、評価額を決定することが可能です。
数ある利益項目のなかでも、EBITDAがなぜ利用されるのかというと、EBITDAが税金、支払利息、減価償却費などを除外するからです。税金、支払利息、減価償却費などの営業外費用は、事業や業界、地域によって大きく異なるため、ある事業と別の事業を比較することは困難です。これらの項目を除外することで、自社の事業における生の収益を長期にわたって比較したり、同業他社と比較したりすることが簡単にできるようになります。
EBITDAは、投資家を探している長期的な成長が見込まれる企業にとって有用な指標で、あるビジネスと他のビジネスを比較するための有用な方法でもあります。
通常、国によって金利水準、税率、減価償却方法などが違うため、国際的企業の収益力は一概に比較することはできません。その点、EBITDAは、その違いを最小限に抑えて利益の額を表すことを目的としているため、国際的な企業、あるいは設備投資が多く減価償却負担の高い企業などの実態的な収益力を比較・分析できるのです。
EBITDAの計算式について説明する前に、EBITDAの計算要素を一つずつ確認していきましょう。EBITDAの主な計算要素とは、金利、税金、減価償却費です。
銀行や第三者からの借入金に対する利息など、金利によって発生する事業費用を含みます。税金と同様、支払利息も企業間、業種間で差があります。資本集約的な産業ほど、そうでない産業の企業よりも、損益計算書上の支払利息が多くなる傾向があります。この費用は、営業外費用のセクションにも記載されています。
政府などによって課される税金で、代表的なものとして法人税や消費税などがこれにあたります。国や地域によって異なりますし、年ごと、事業ごとに変化します。これは、多くの場合、業界、場所、会社のサイズに依存するものです。この数値は通常、損益計算書の営業外費用のセクションに記載されています。
会社の固定資産の価値の減少を示す費用です。資産価値の減少を意味する非現金支出費用のため、実際のキャッシュアウトが伴わない費用となります。
支払利息の利率、減価償却の割合などの指標は国や地域の影響をうけるため、企業が主体的にその割合をコントロールしづらい益に影響を与える可能性のある要素を除外するため、営業利益や経常利益などより実体的な収益性を示す指標ともなりえます。
たとえば、A社の財務情報が次の通りだったとしましょう。
当期純利益+税金+減価償却費+支払利息=EBITDA
つまり、180万円+13万円+18万円+26万円=237万円となり、EBITDAは237万円となります。
EBITDAは、所有者、投資家、利害関係者が、他社と比較可能な事業の営業収益性を明確に反映した数値が得られる指標です。そのため、EBITDAはM&A戦略の一環として、どの事業がより魅力的であるかを決定する際に、他の指標よりも優先されることが多い指標となっています。
投資家は、企業の基本的な財務の健全性と価値を測る際、しばしば純利益、売上高、キャッシュフローに注目します。しかし、近年では、四半期報告書や決算書において、これらとは別の尺度が重要視されるようになってきました。それがEBITDAです。
EBITDAを使って企業の財務の健全性を分析は、レバレッジド・バイアウト時代の最盛期であった1980年代に広まりました。
この時代、投資家は経営難に陥った企業を財務的に再建することが一般的で、EBITDAは主に、企業が再建に伴う利息を返済する余裕があるかどうかを判断する基準として利用されていたのです。
たとえば、2つの会社を比較する際には、次のようにEBITDAマージンを計算します。EBITDAマージンの計算式は、以下の通りです。
EBITDAマージン=EBITDA÷総収益
企業全体の収益に対するEBITDAの割合を決めることで、このマージンは、ビジネスが単年度でどれだけの営業キャッシュを上げているかを示す指標となります。もし、あなたのビジネスのマージンが他よりも大きければ、プロのバイヤーはあなたのビジネスの成長性をより高く評価する可能性があります。
たとえば、A社のEBITDAが60万円で、総収益が600万円だとします。この結果、EBITDAマージンは10%(60万円÷600万円=0.1)となります。これを、EBITDAが75万円で、総収益が900万円であるB社と比較します。B社のEBITDAマージンは約8%(75万円÷900万円≒0.083…)です。
このように考えると、B社の方がEBITDAの絶対額は大きいものの、マージンはA社より小さい(10%に対して8%)ということを意味します。このため、両社を比較検討する買い手は、B社よりもA社の方が有望と考えるかもしれません。
つまり、投資家、オーナー、アナリストは、EBITDAマージンを使うことで、総収益に対してどれだけの営業キャッシュが生み出されているかを確認でき、これをベンチマークとして、どちらが財務的に効率的かを判断することができるのです。
EBITDAは、金利・税金・減価償却費など、国による政策や税率の違い、経営者の方針の違いなどによって生じる違いを最小限に抑えられる指標です。そのため、事業の正確な収益性を判断することができます。国による違いや経営者の方針による違いをできるだけ排除した収益性を図るものとして重宝されています。M&Aにおいては、国の違いなどを除外するというEBITDAのこの特性を活かしてEBITDAマージンといった指標を計算し、その事業価値を理解するために使われています。M&AではEBITDAについて正しい知識を身に着けることが大切になるでしょう。まずは専門家に相談してみましょう。